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 景気は回復を続けているのに、国の税収が7年ぶりに減少に転じた。経済が成長すれば税収が増え、財政も再建できる――。そう主張してきた安倍政権への、重い警告である。

 16年度の一般会計税収は55・5兆円で、前年度より0・8兆円減った。英国の欧州連合(EU)離脱決定に伴う円高などで企業収益が期待したほど伸びず、法人税収が2年続けて減少。所得税と消費税も減り、税収全体の約8割を占める主要3税がそろって陰った。

 大胆な金融緩和と機動的な財政出動で経済成長を図るのが、政権の経済政策の基本戦略だ。成長がもたらす税収増などを使って経済対策を打ち、次の成長につなげつつ財政も改善する「好循環」を狙ってきた。

 今年1月の施政方針演説でも、首相は政権交代後に国の年間税収が15兆円増えたと指摘した。8%への消費増税分を含む金額ではあるが、「こうしたアベノミクスの果実も生かし、『成長と分配の好循環』を創り上げていく」と強調した。

 しかし成長頼みの政策運営には限界があることを、税収の減少は示している。

 第2次安倍政権の発足時、経済はリーマン・ショックによる落ち込みから回復に向かい、税収も増え始めたところだった。

 景気回復の初期は、赤字企業が黒字に転じて納税を再開するので法人税収が増えやすい。しかし黒字転換が一巡すると、税収の伸びは鈍くなる。多くの日本企業の収益の柱が国内から海外に移っていることも、業績改善が法人税収の増加に直結しない一因となっている。

 問題は、政権がそうした現状から目をそむけていることだ。

 16年度の税収については、昨年12月に編成した補正予算で、当初予算より1・7兆円少なくなると修正した。一方、同時につくった17年度当初予算での税収は、修正前の16年度当初より増えると強気に見込んだ。

 その結果、17年度予算では、歳出が5年連続で過去最大を更新しながら、財源不足を埋める新規の国債発行額は前年度からわずかながらも減った。官邸や財務省は、国債の発行減を強調することで実態以上に財政再建が進んでいるかのように見せようとしたのではないか。

 現実を直視しなければ、まっとうな政策論議はできない。

 政府は20年度に基礎的財政収支を黒字化する目標を掲げているが、達成は絶望的だ。財政運営でどんな選択肢があるのか、政府は実態に即して国民にきちんと説明しなければならない。

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