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 毒を持つ外来種のヒアリが、各地で見つかっている。海外からのコンテナや貨物にまぎれこんできたとみられている。

 環境省が2005年に外来生物法に基づく「特定外来生物」の第1弾で指定して以来、警戒を続けてきたものだ。

 さまざまな手段を駆使して、ぜひ定着を阻止したい。

 南米原産のヒアリは1930年代に米国に侵入。21世紀に太平洋を越え、オーストラリアや中国、台湾でも繁殖している。

 モノや人の交流が盛んになるほど外来種は入りこみやすくなる。93年に広島県で見つかったアルゼンチンアリや、95年の大阪府のセアカゴケグモは大きな騒ぎになり、駆除も試みられたが、定着してしまった。

 ヒアリはこれらと比べても、想定される被害がけた違いに大きい。人を刺し、家畜を襲う。電化製品や通信設備の中に入り込み、故障の原因になる。米国では経済損失が年間7千億円にのぼるとの試算もある。

 まず行うべきは水際対策の徹底だ。当面の措置はもちろん、将来に備えて持続可能な監視体制を築くことが求められる。

 参考になるのが、同じ島国のニュージーランドの例だ。

 外来種の発見は、国や公的機関以外にも、輸入や運送、通関、荷役にかかわる業者に負うところが大きい。同国では生物がどんな荷物にまぎれこんでいるかのリスクを評価。それに応じて、業者が守るべき貨物の衛生管理に関する基準を作った。ヒアリなら、コンテナ以外にも車や中古機械、建築材などが「リスク高」に分類される。

 国内でどんな基準を設け、いかに実効あるものにするか。関係省庁で協議し、必要に応じて法改正や国際社会での連携強化に取り組んでもらいたい。

 それでも侵入を防げるとは限らない。国内で巣が発見されたときに迅速・確実に対応できるよう、専門家のネットワークづくりを急ぐべきだ。

 ニュージーランドでは06年に巣が見つかると、半径2キロ圏の土壌などの移動を制限し、殺虫エサや捕獲わなを使った監視を3年間続けて定着を阻んだ。

 私たちも正しい知識で、この問題にのぞむ必要がある。

 刺されると激しい痛みがあるが、命にかかわるのは呼吸困難など急性のアレルギー症状が出たときだ。一方、在来種のアリは、農作物や植物を害虫から守ったり、種子を運んだりと、生態系の中で大切な役割を果たしている。殺虫剤でむやみにアリを殺すようなことはせず、落ちついた行動を心がけたい。

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