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 北朝鮮は日米韓のわずかなズレを突いて連携を乱そうとしてきた。3カ国はそれを常に意識し、結束を強めなければ事態打開はありえない。

 韓国の文在寅(ムンジェイン)政権が、国際社会の非難を無視して核・ミサイル開発を続ける北朝鮮に、本格的な対話を独自に提案した。

 対話によって朝鮮半島の当事者である韓国と北朝鮮の風通しが良くなれば、それ自体は地域の安定にとって好ましい。

 ただ、韓国の提案直後の日米両政府の反応を見る限り、事前に十分な合意が図られていた形跡は乏しい。

 大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射など、北朝鮮の脅威の度合いは増している。文政権は関係国、とりわけ日米に事前の説明を尽くしたうえで行動に出るべきだった。

 韓国政府が呼びかけたのは、南北の軍事当局者会談と赤十字会談の開催だ。軍事会談では、北朝鮮指導部が嫌がる軍事境界線付近での宣伝放送の停止も議題にする模様だ。

 一方、赤十字会談で話し合う予定の離散家族の再会事業は、北朝鮮側が外部からの情報流入に神経をとがらせてきた。

 二つの提案は、文大統領が今月6日、東西ドイツの統一を象徴するベルリンで演説した北朝鮮へのメッセージが土台になっている。

 演説で文大統領は、核問題だけでなく、北朝鮮が望む平和協定の締結などすべてを対話のテーブルに載せようと訴えた。

 その姿は17年前、同じ地で平和共存を力説した故・金大中(キムデジュン)大統領と重なる。当時の北朝鮮は難色を示したものの、結果的に初の南北首脳会談が実現した。

 確かに今回の提案内容は、国連安保理決議による制裁などに反しない民族間の固有の問題だ。それでも今回の提案が、日米韓の連携に微妙なさざ波を立てたのは間違いない。

 米ホワイトハウスの報道官は、対話の条件が満たされているとは言えないとして、否定的な反応をみせた。

 日本政府にも韓国の独自行動への反発はあるものの、菅官房長官は「北朝鮮に対する圧力を強化する日米韓の方針との関係で問題になるとは考えていない」と述べるにとどめた。

 大事なことは、圧力を続けることを共通認識としながらも、平和的解決に向けていずれは必要となる対話に踏み出すための具体的な道筋を、3国政府が共有しておくことである。

 今回の韓国の提案もその一環として、日米とのすり合わせをいまからでも急いでほしい。

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