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 安倍首相の友人が理事長を務める加計学園の獣医学部新設は「加計ありき」で進められた。そんな疑いがいっそう強まる文書が明らかになった。

 文書は、学園が国家戦略特区での学部設置を認められる約2カ月前、山本幸三地方創生相が日本獣医師会を訪れた際の獣医師会側の記録だ。山本氏が学園の具体名や、愛媛県や今治市の負担額をあげて学部新設方針を伝えたと記されている。

 山本氏はこれまで、国会答弁で「加計ありき」の手続きを否定してきた。文書に記された発言が事実なら、国会答弁と矛盾する重大な内容である。

 山本氏は「獣医師会側の思い込みと私の発言を混同したものであり、正確ではない」と文書の信用性を否定した。

 だが記録を示した獣医師会の指摘と、裏付けを示さない山本氏の主張と、どちらに信用性があるだろうか。

 思い出すのは、特区担当の内閣府が文部科学省に「総理のご意向」をかざして手続きを促したとする文科省の文書が明らかになった際の対応だ。

 次々に出る文書に対し、山本氏ら内閣府側はこう主張した。「『総理のご意向』などと伝えた認識はない」「職員が時として使用する強い口調が反映されたのではないか」

 では、文科省とどんなやりとりがあったのか。そう問われると、文書はないというばかり。

 獣医師会側との話し合いについて、山本氏は「議事録はないが、秘書官がメモ書きみたいに書いていた」と語ったが、後に「メモはもうないらしいが、内容は覚えている」と発言を修正した。文書の管理・保存に対する感度があまりにも鈍すぎる。

 大事な協議内容は記憶に頼らず、文書に残す。公的機関に限らず、民間でも常識である。

 その当たり前のことが、なぜ安倍内閣では通用しないのか。この問題の政府の説明に国民が納得しない背景には、そうした不信がある。

 来週24、25両日、国会の閉会中審査が開かれる。説得力のある根拠を示さぬまま、首相や山本氏が「一点の曇りもない」などこれまで通り訴えても、言葉が空しく響くだけだ。

 首相にひとつ提案がある。

 中立的な第三者に依頼して、首相官邸や内閣府の関係者の聞き取りや、文書の存否を徹底調査してもらい、結果を包み隠さず公表してはどうか。

 それくらいのことをしなければ、深く傷ついた国民の政治への信頼を少しでも取り戻すことはできまい。

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