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 373万人が暮らす全国最大の基礎自治体、横浜市のトップを決める市長選の投開票が30日に迫った。待機児童対策や企業誘致など2期8年の実績を強調する現職に、「カジノ反対」「中学校給食の実施」を訴える新顔2人が挑む。2019年をピークに市の人口は減少局面に突入するとされ、活力を維持するための方策が問われている。

 現職の林文子氏(71)は告示の16日、横浜駅前で自民、公明、民進の国会議員と並び、「市政はすべての方の力を借りなければできない。コーディネートするのが市長の役割」と述べ、市政の継続を訴えた。

 林氏が初当選した2009年の市長選で、担ぎ出したのは旧民主党。民主が圧勝した総選挙と同日の投票で、自公が支援する候補に競り勝った。その後、自公とも接近。前回13年の市長選では自民公がそろって推薦し、圧勝した。

 与野党相乗りの林氏をめぐって亀裂が生まれたのが、安倍政権が検討を進めるカジノを含む統合型リゾート(IR)だ。自民が林氏への影響力を徐々に強める中、林氏は昨年、「横浜の成長にIRは必要」と積極姿勢を示した。今年に入って慎重姿勢に転じ、6月の出馬会見では「白紙」と強調。だが、告示直前に公表した公約集では「導入検討」と踏み込んだ。

 民進の市議だった伊藤大貴氏(39)は林氏のカジノに対する姿勢を見て、立候補を決めた。「世界を見ても、港湾都市でカジノで街づくりがうまくいっている都市はない。横浜にカジノ誘致はありえない」と訴える。かつて秘書を務めた民進代表代行の江田憲司衆院議員の後押しを受けた。

 いち早く今年1月に立候補を表明した長島一由氏(50)もギャンブル依存症や借金苦による自殺増の恐れを指摘し、「市長選はカジノをめぐる事実上の住民投票だ」と訴える。元民主党衆院議員で、神奈川県逗子市長も務めた。

 与党側が敗北した東京都議選、仙台市長選に続く地方の大型選挙で、ある自民市議は「影響はあるだろうが、謙虚にやるしかない」と気を引き締める。ただ、林氏には分裂した民進のうち旧民主系の市議らが付き、連合神奈川と経済界有志も支援に回る。際立った与野党対決の構図にはなっていない。

 もう一つの主な争点が、中学校の給食だ。全国では実施率が8割を超えるが、横浜市議会で家庭の弁当が基本であるべきだという意見が根強く、財政の壁もあって実現してこなかった。女性の社会進出が進み、子どもの貧困問題が広がる中で、新顔2氏は給食の必要性を訴える。一方、林氏は昨年度に導入した予約制の弁当(牛乳と汁物をつけて1食470円)を給食並みの1食300円台に値下げすると公約している。

 表現の違いはあれ、カジノ反対と中学校給食実現を掲げる点で、伊藤氏と長島氏は共通する。林氏に批判的な市議は「長島氏と伊藤氏の違いが見えにくく、現市政への批判票が分散する恐れがある」と話す。(太田泉生)

3氏の主な政策(届け出順)

 【カジノ(IR)誘致】

 <林文子氏>

 導入検討。依存症対策を研究し、市民・議会の意見を踏まえ決定

 <長島一由氏>

 依存症や自殺増の恐れから反対。歴史や文化を生かした街づくり

 <伊藤大貴氏>

 税収確保は大事だが、カジノは安易。将来に誇れる開発をする

 【中学校給食】

 <林文子氏>

 1食470円の予約弁当を給食並みの300円台に値下げ

 <長島一由氏>

 地産地消やアレルギー対策も考慮し給食実現を目指す

 <伊藤大貴氏>

 共働きやひとり親が増え、働きやすい環境を整えるため給食は必須

 【その他の政策】

 <林文子氏>

 ・2021年までに保育定員1万人増

 ・小児医療費助成を中学3年までに拡大

 <長島一由氏>

 ・情報公開の迅速化、時限公開制度導入

 ・電線地中化で災害時の輸送路確保

 <伊藤大貴氏>

 ・教育予算を増やし給食や英語教育を拡充

 ・高齢者らを支える公共交通を充実

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