[PR]

 日本で学ぶ全ての生徒に公平に教育の機会を与える、という制度の原点に立った判決だ。

 高校の授業料無償化をめぐり、大阪地裁は28日、大阪朝鮮高級学校を対象外にした国の決定を取り消し、就学支援金を支給するよう命じる判決を出した。国は司法の判断を重く受けとめ、速やかに支給すべきだ。

 経済的事情で勉学を断念することがないよう、国の負担で教育の機会均等を確保する。判決が判断の軸にしたのは、高校無償化法にあるこの目的だ。

 無償化は民主党政権が2010年に始めたが、朝鮮半島情勢を理由に適用を見送った。第2次安倍内閣では下村博文・文科相が拉致問題などを理由に「国民の理解が得られない」とし、13年2月、不支給を決めた。

 大阪地裁はこうした国の対応を「教育の機会均等の確保とは無関係な外交的、政治的判断に基づき、法の趣旨を逸脱し、違法で無効だ」と結論づけた。

 教育制度を政治・外交課題と同一線上で論じ、混同することを、厳しく戒めたといえる。

 国が主張したのは、朝鮮学校が北朝鮮や朝鮮総連とつながりをもち、「『不当な支配』を受け、適正な学校運営がされない懸念がある」という点だった。

 判決は、朝鮮高級学校で北朝鮮を賛美する内容の教育があり、総連の一定の関与があることは認めた。ただ、補助教材を活用するなどし、教育内容が一方的ではなく、さまざまな見方を教えているとも指摘、「教育の自主性を失っているとまでは認められない」と述べた。

 国は「支援金が授業料にあてられない懸念がある」としたが、判決は、裏付けの事実がないとして認めなかった。実態を十分に調べず、こうした主張をする姿勢が、学校への偏見を広めたことを国は反省すべきだ。

 朝鮮学校の無償化問題では、広島地裁が19日、学校と総連との関係が強かったとして「不支給は適法」との判決を出しており、地裁で判断が分かれた。国の言い分の追認に終始した広島の審理に対し、大阪地裁は卒業生や元教員らの証人尋問をし、学校側から提出された保護者へのアンケートまで証拠として検討した。朝鮮学校の実情を把握するため、より丁寧な裁判で導いた結論といえる。

 いま、朝鮮学校に通う生徒は日本で生まれ育った在日コリアン4世が中心だ。民族の言葉や文化を大切にしながら、日本で生きていきたいと学んでいる。

 多様なルーツや教育の自主性を尊重するのか。問われているのは、社会のあり方だ。

こんなニュースも