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 公開すべき文書を隠し、調査では事実関係をあいまいにして、果ては稲田前防衛相まで覆い隠そうというのか。

 南スーダン国連平和維持活動(PKO)に派遣された陸上自衛隊の日報問題で、自民党が、衆院安全保障委員会の閉会中審査への稲田氏の出席を拒否すると民進党に伝えた。

 耳を疑う。即刻、これを撤回し、委員会に稲田氏を参考人として招致すべきだ。

 「大臣を辞任し、一番重い責任の取り方をした」。自民党の竹下亘国会対策委員長はそう述べたが、辞任しても国会に呼ばない理由にはならない。

 稲田氏はこの問題の直接の責任者であり、虚偽答弁が疑われている。問題を調べた特別防衛監察の結果は国会閉会後の7月末になってようやく公表され、同時に稲田氏が辞任した。

 だとすれば、監察結果を国会に報告し、質疑に応じるのが、防衛相の任にあった者としての最低限の責任である。

 稲田氏自身、辞任を表明した記者会見で、国会から呼ばれれば出席する姿勢を示していた。安倍首相も「国会から要請があれば政府として協力していくことは当然」と語っていた。

 「丁寧な説明」を誓った首相の言葉は「期間限定」だったのか。辞任後も稲田氏をかばい続けているとすれば、この問題に厳しい目を向ける民意を無視していると言うほかない。

 真相究明がうやむやでは再発防止策はたてられない。情報公開や文書管理、文民統制をめぐる議論も深める必要がある。

 稲田氏の招致を拒否する方針に、野党は「最悪の隠蔽(いんぺい)工作だ」と反発している。多くの国民も同じ思いだろう。自民党は批判を真摯(しんし)に受け止め、隠蔽を重ねるような振る舞いを改めるべきだ。

 ところが自民党の姿勢は、全く後ろ向きだ。国防部会では「そもそも日報を公開するべきではなかった」との意見が続出した。情報公開法の開示義務違反と結論づけた監察の判断と正反対で、国民に説明を尽くそうとする態度からはほど遠い。

 二階俊博・自民党幹事長の発言が、安倍政権下の党の体質を象徴している。

 「自民党がいろいろ言われていることは知っている。だけど、そんなことに耳を貸さないで我々は正々堂々頑張らなくてはならない」

 国民に向き合わず、誰に対して「正々堂々」なのか。稲田氏を国会に呼び、質疑を通じて問題を解明する。政権与党として当然の務めである。

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