[PR]

 東京都の小池百合子知事が就任して、きょうで1年になる。

 先月の都議選では支持勢力が議会の過半数を占めた。「都民本位の都政」「都民に開かれた都政」という自らの公約の実現に向けて盤石の態勢を確立した形だが、ここまでの歩みを見ると大きな疑問と不安がある。

 知事はこの間、任命した外部顧問らとの間で重要な方針を決める手法をとってきた。

 たとえば市場移転問題だ。

 知事は6月20日、突然「築地は守る、豊洲を活(い)かす」を基本方針として発表した。その4日前に知事も出席して開かれた都の「市場のあり方戦略本部」の最終会合では、まったく議論にのぼっていなかった話だ。

 会合をネットで傍聴していた都民は「両立」など想像しなかったに違いない。それは都庁幹部も同様で、発表直前まで知らされていなかったという。

 基本方針に関与した顧問らはその後、豊洲には「一時移転」するだけだと、ツイッターなどでくり返し発信している。一方で、知事もメンバーである都の幹部会議では、副知事が豊洲を市場として「継続的に」運営すると報告し、了承された。

 市場関係者や都民は戸惑うばかりだ。姿勢をあいまいにしたままの知事の責任は重い。

 もうひとつ大きな注目を集めた五輪の計画見直しでも、顧問らがまとめた英文リポートが、知事から国際オリンピック委員会のバッハ会長に手渡されたことがあった。都議会で内容を尋ねられた都幹部は「作成の経緯に関与していない。答弁は控えたい」と言うしかなかった。

 知事は都政のトップとして、16万人の職員を使いこなし、その発想を生かす立場にある。ただ、行政に長く携わってきた者は過去の経緯ややり方にどうしてもとらわれる。外部の知見をとり入れ、新たな視点で課題を見つけ、解決策をさぐる手法は当然あっていい。

 しかしその場合も、議論の過程をできるだけ透明にし、結論を出したら、理由も含めて自らの口ではっきり語るのがリーダーの務めだ。この当然のことが小池都政はできていない。

 知事は従来の都政をブラックボックスと呼んで批判した。だがこれでは新しいブラックボックスが生まれただけで、都民への説明責任を果たしていない点で変わりないではないか。

 市場に関する基本方針を表明した直後、築地で業者らと面談した知事は「最大の問題は都の顧問行政だ」と指摘された。この直言を重く受け止め、2年目に臨まなければならない。

こんなニュースも