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 危険な核物質を取り扱っているという意識が欠如した組織だと言わざるを得ない。

 日本原子力研究開発機構の施設で作業員が被曝(ひばく)した事故を、原子力規制委員会は8段階(0~7)の国際評価尺度に照らして「レベル2」(異常事象)と暫定評価した。高速増殖原型炉「もんじゅ」で1995年に起きたナトリウム漏れ事故(レベル1)を上回る。

 機構は当初、作業員1人の肺から2万2千ベクレルのプルトニウムが検出され、内部被曝量が50年間で推定12シーベルトに上ると発表した。その後、別の機関での測定で、50年間の被曝量は100ミリシーベルト以上200ミリシーベルト未満と100分の1程度に修正された。それでも基準に従ってレベル2と判断された。

 事故では、金属容器内のビニール袋が破裂し、袋の中のポリ容器に入れていた核物質が飛び散った。ポリ容器や、核物質を固めるのに使った樹脂が放射線で分解され、ガスが発生したとみられる。

 容器に核物質を詰める作業が行われたのは26年前。最近見つかった記録によると、作業から5年後にビニール袋の膨張が確認され、ポリ容器も破損していたため、容器と袋を交換した。作業前に作られた手引には「放射線分解によるガス圧の上昇に十分に注意」と書かれていた。

 こうした情報をしっかり伝達・共有していたら、破裂は十分に予想できた。密閉型の作業台で作業していれば、破裂しても被曝は防げた。

 機構は9月末を目標に再発防止策を発表する。ただ、自己チェックに基づき目先の対策だけを考えても不十分だ。

 機構では、使用済み燃料再処理工場「東海再処理施設」でも核物質のずさんな管理が明らかになった。組織の体質に根本的な問題があるとみるべきで、外部の視点を生かしてメスを入れ、構造的な問題を洗い出さねばならない。

 機構は今後、事故が起きた施設や廃炉が決まった「もんじゅ」を含め、国内に88ある施設の約半数を廃止する。作業を安全に進めるため、機構を所管する文部科学省に部会が置かれ、議論が始まっている。

 しかし、組織の運営や職員の意識を抜本的に変えるには限界があろう。原子力の関係者だけでなく、航空・宇宙など厳しく安全管理が問われる産業分野などからも人材を招き、点検する仕組みが必要ではないか。

 事故を二度と起こさない。その決意と緊張感が、機構をはじめ関係者に問われている。

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