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 この夏も全国高校野球選手権大会が阪神甲子園球場で開かれる。代表49校の選手には、悔いのないプレーを期待したい。

 6月半ばから各地で開かれた地方大会には計3839チームが出場、厳しい暑さや雨のなかで熱戦を繰り広げた。

 高知大会の決勝に初めて進んだ梼原(ゆすはら)(梼原町)は、四国山地の山あいにある県立高校だ。新入生の減少で統廃合の危機にひんした2006年、校長らが生徒を呼び寄せる機会になればと、野球の同好会を作った。翌年、正式に部となった。

 学校や生徒の奮闘を知った町が、練習用にグラウンドを提供。町内の有志は後援会を結成し、寄付金を集めて用具や遠征用のマイクロバスを購入するなど、支援の輪が町全体へと広がった。寮生活を送る部員は、清掃や冬の雪かきを手伝って地域に貢献した。

 創部から10年のこの夏。我らの野球部の活躍に人口約3600人の町はわき、明徳義塾との決勝には住民の5人に1人が高知市の球場にかけつけた。

 惜しくも敗れたが、後援会事務局長の西村茂則さん(65)は「夢にまで見た甲子園まであと一歩まで来た。町がこんなに盛り上がったことはなかった」と振り返る。球児の活躍が、過疎化に悩む町に、感動と元気を与えたのは間違いない。

 福島大会では、約2年前に開校したふたば未来学園(広野町)が相手を無安打無得点に抑える快挙で初勝利を挙げた。

 原発事故のため、住民が一時は全町避難した町で、学園は復興の象徴的な存在だ。今年初めて全学年そろっての出場で、記念すべき1勝となった。

 日本高校野球連盟によると、今年度の加盟校数は29年ぶりに4千校を割った。背景には少子化や学校の統廃合がある。一方で、はつらつと白球を追う球児の姿は、全国どこであっても、人々を勇気づける。高校野球のもつそんな不思議な力を、大会を通じてかみしめたい。

 来年は100回の節目を迎える。出場校はその歴史を背に、郷土の球児たちの思いも胸に、実力を発揮してほしい。

 初出場は6校。藤枝明誠(静岡)と津田学園(三重)が初日に対戦。春夏通じて初出場のおかやま山陽(岡山)は、11年連続出場の聖光学院(福島)が相手。史上初の2度目の春夏連覇に挑む大阪桐蔭、昨年の覇者、作新学院(栃木)のほか、横浜(神奈川)、中京大中京(愛知)、興南(沖縄)と、過去に春夏連覇した5校も出場し、球趣を盛り上げてくれそうだ。

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