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 日本政府の申し入れは、米軍にとって、これほどまでに軽いものなのか。

 オーストラリア北東部で在沖縄米海兵隊のオスプレイが墜落した事故を受け、小野寺防衛相が日本国内での飛行自粛を米軍に申し入れた。だが、その翌日のきのう、米軍は日本の要請が耳に入らぬかのように、沖縄の普天間飛行場から同型機1機を飛び立たせた。

 米軍の安全への意識の低さ、日本国民・沖縄県民への配慮のなさに慄然(りつぜん)とする。

 昨年12月に同県名護市の海岸で同型機が大破する事故を起こした際にも、米軍はわずか6日後に飛行を全面再開。日本政府もこれを追認した。

 詳しい原因究明もできない段階で、安易な飛行は許されない。日本政府は今度こそ、強い姿勢で米軍や米政府に飛行中止を求め続けるべきだ。

 オスプレイは、毎年のように世界各地で大事故を起こしている。2010年のアフガニスタン、12年のモロッコ、米フロリダ、13年の米ネバダ、14年のペルシャ湾、15年の米ハワイ、そして昨年の名護市などだ。

 名護市の事故では、日米合意で原則6カ月以内とされる米軍からの事故調査報告書の日本側への提出はいまだない。

 これで再発が防げると言われて信じる人はどれほどいようか。米軍は今回、「しっかり安全確認をしている」と説明しているというが、住民の不安がぬぐえるはずもない。

 事故機は普天間に駐留し、沖縄の空を頻繁に飛んでいた。宜野座村のキャンプ・ハンセンでは、同型機が民家近くの着陸帯で深夜まで訓練を繰り返している。新たな着陸帯を建設した米軍北部訓練場では、地元自治体の要望に反して、予告なく新着陸帯を使う訓練が7月から始まった。午後10時以降の訓練も頻繁で、地元住民は不安や怒りを強めている。

 普天間所属のオスプレイは米軍岩国基地(山口県)、横田基地(東京都)、厚木基地(神奈川県)など、全国の米軍基地や自衛隊駐屯地に飛来したり、訓練したりしている。10日から北海道で始まる日米共同訓練にも6機が参加を予定している。

 米空軍が横田基地に配備するほか、陸上自衛隊も佐賀空港への配備を検討している。陸自木更津駐屯地(千葉県)では定期整備が始まった。

 沖縄にとどまらない。日本全国が向き合わねばならない問題である。今回の事故を「外国で起きた事故」で済ませてはならない。

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