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 国の来年度の予算編成に向けて、各省庁の概算要求が出そろった。総額は約101兆円で4年続けて100兆円を超えた。

 財務省は査定を通じて3兆円分を削り、総額を98兆円程度にする方針だ。とはいえ、税収は今年度に見込む57兆円余から大きな伸びは期待できず、多額の国債発行が避けられない。

 必要な事業を見極め、将来世代へのつけ回しを少しでも減らせるか。安倍政権は「歳出改革の取り組みを強化する」と強調するが、かけ声だけで終わらせてはならない。

 概算要求の総額は前年度よりやや少ないが、各省庁が要求を絞ったからではない。借金(過去に発行した国債)の元利払いに充てる国債費を少なく見積もったことが最大の要因だ。超低金利に合わせて想定金利を下げ、8千億円近く減った。

 それ以外では、むしろ締まりのなさが目につく。

 象徴的なのが約4兆円の「特別枠」だ。公共事業など政策判断で増減させやすい分野について、要求額を今年度予算から1割減らす代わりに、政権が重視する施策に関する事業を特別枠で優先的に認める。

 硬直的になりがちな配分にメリハリを付けるのが本来の狙いだが、「抜け道」になりやすい。特別枠の対象が「人材投資」「地域経済・中小企業・サービス業の生産性向上」などと幅広いためだ。「1割減」ルールで要求を見送った分を特別枠に回し、合計すると増額要求になっているという例もある。

 金額を明示していない「事項要求」も心配だ。幼稚園や保育園の無償化など、どこまで具体化するかを今後詰める項目についてとられる手法だが、各省庁にいくつもある。軒並み予算計上を認めていけば、総額が膨らみかねない。

 医療や介護などの社会保障費も焦点だ。高齢化に伴って膨らむ「自然増」について、政府は年間5千億円に抑える目標を掲げる。来年度は6300億円の増加が見込まれ、診療報酬や介護報酬の改定などで圧縮する方針だが、調整は容易ではない。

 安倍政権は毎年度、100兆円近い過去最大規模の予算を組んできた。しかし16年度の税収が7年ぶりに減少するなど、経済成長をあてにした予算編成を続けられないのは明らかだ。

 与党議員からは、内閣支持率の低下とともに歳出増を求める声が強まっている。ばらまきを排し、政策ごとに必要性を突き詰める「歳出改革」の重みがこれまでになく増していることを、政権は肝に銘じてほしい。

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