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 カジノを核とする統合型リゾート(IR)の開設に向けた法制度の検討が進んでいる。

 昨年末、自民党や日本維新の会が主導して、IR整備を促す「推進法」を強引に成立させたのは記憶に新しい。これを受けて政府は、事業のやり方やギャンブル依存症を抑える方策を盛りこんだ「実施法」案を、秋の臨時国会に提出する方針だ。

 依存症に対する国民の不安は根強い。ぬぐうにはしっかりした対策を示したうえで、人々の理解を深め、合意を形づくる十分な時間が必要だ。政府・与党には、法整備のメドとされる今年末にこだわらず、議論を尽くすことが求められる。

 政府の有識者会議が7月にまとめた素案は、「世界最高水準のカジノ規制」をうたい、日本人の入場回数に上限を設定する▽マイナンバーカードで確認する▽入場料を徴収する▽本人や家族の申告で入場そのものを制限する――などを挙げた。

 同様の措置はシンガポールや韓国にある。ただし素案は、上限とする回数や入場料金を示していない。先月、政府が各地で開いた公聴会では「対策が不十分」との声が相次いだ。

 一方、推進派の自治体や企業は「規制が厳しすぎる」と不満を訴える。IR誘致をめざす大阪府と大阪市は、回数制限やマイナンバーによる本人確認は「行きすぎた入場抑制になる」として、見直しを求めた。

 推進する側はもっぱら、IRの早期整備に伴う経済効果を説く。だが社会への負の影響を最小化するのは譲れない条件だ。素案程度の規制すら受け入れられないというなら、カジノ構想自体を断念したほうがいい。

 政府はあわせて、パチンコや競馬、競輪など既存ギャンブルの依存症対策もまとめた。IR推進法の成立にあたり、国会が付帯決議で「対策の抜本強化」を求めたためだ。

 本人・家族の申告による入場制限や相談態勢の整備など、「遅まきながら」の感が強い。成人の2・7%に依存症の疑いがあるとの推計もある。まずは既存ギャンブルで、対策の実効性を見極めてはどうか。カジノ導入はその後でも遅くない。

 カジノを監督する仕組みづくりも課題だ。素案では、反社会的勢力の関与を排除するため、内閣府に新設するカジノ管理委員会が、事業者の役員らの経歴などを調査するという。ノウハウも十分とはいえないなか、どう実をあげるか。

 どうしてもカジノを開くというのなら、万全を期すべきだ。拙速はこの国に禍根を残す。

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