[PR]

 民進党の再生に向けて一歩を踏み出そうとした矢先に、前原誠司・新代表が執行部人事で大きくつまずいた。

 幹事長に内定していた山尾志桜里・元政調会長を一転、自らに近い大島敦・元総務副大臣に差し替えた。山尾氏の男性との交友をめぐり、週刊誌から本人に取材があったことが引き金になったようだ。

 山尾氏の問題をめぐる事実関係はつまびらかでないが、自ら主導した目玉人事に失敗し、船出したばかりの党を動揺させた前原氏の責任は重い。

 山尾氏を起用しようとした狙いは理解できる。待機児童問題などで国会論戦を引っぱってきた発信力をもつ。当選2回で43歳、党の次世代のリーダー候補と目され、刷新や多様性の象徴として期待する声も党内外にあった。

 問われるのは前原氏の判断の甘さだ。要職に起用しようとした議員の事情を把握していなかったことを、結果として露呈した。岐路に立つ民進党を率いる代表として猛省すべきだ。

 前原氏が山尾氏の起用を見送ったのはやむをえないとしても、一方で懸念されるのは、山尾氏の抜擢(ばってき)について前原氏を支持する議員を中心に、山尾氏の経験不足などを理由に不満や反発が上がっていたことだ。

 民進党の支持がなぜ上向かないのか。旧民主党政権時代の挫折だけが理由ではない。

 野党に転落後も、自分たちが選んだ代表を支えず、毎年のように交代させてきた。互いに足を引っ張り合うバラバラ体質への不信がその要因であることが、いつになったら骨身に染みるのか。

 何のために先の代表選を行ったのか、民進党の議員たちは改めて肝に銘じるべきだ。

 政権与党に代わりうる野党の存在こそが、政治に緊張感を生み、多様な民意の反映につながる。長期政権のひずみが目立つ安倍政権と対峙(たいじ)する野党第1党として「国民の選択肢」たりうるか、前原代表のもと「ラストチャンス」に挑もうとしたのではなかったか。

 今月下旬に臨時国会が開会予定で、10月22日には三つの衆院補欠選挙がある。安倍政権との論戦は待ったなしだ。執行部人事では、代表代行に代表選を争った枝野幸男氏をあてるなど、党をあげて難局に臨もうとする姿勢はうかがえる。

 今回の失敗で前原氏の求心力の低下も予想される。党が結束できるかどうか、瀬戸際に立っていることを自覚し、一刻も早く出直さねばならない。

こんなニュースも