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 核実験をやめない北朝鮮の脅威にどう向き合うか。自民党の石破茂元防衛相が、非核三原則の見直しに言及した。

 「米国の核の傘で守ってもらうといいながら、日本国内にそれ(核兵器)は置きません、というのは本当に正しい議論か」

 問いに答えるなら「正しい議論だ」と言うほかない。

 「核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず」。非核三原則は冷戦期の1967年に佐藤栄作首相が表明し、歴代内閣が踏襲してきた。

 米国の核抑止に頼る現実と、唯一の戦争被爆国として核廃絶をめざす理想。その両者に何とか折り合いをつけようとした重い「国是」である。

 米国は核の配置場所を明らかにしないのが原則で、持ち込ませずの検証は困難だ。それでも非核三原則を順守する姿勢が、冷戦後も、日本外交の柱となってきたのは間違いない。

 その日本が非核三原則の見直しに動けば、韓国、台湾も核を求めて動き出す「核ドミノ」の発火点にもなりかねない。

 韓国ではすでに米軍の戦術核の再配備や独自の核武装を求める声が出ている。そうなれば、核不拡散条約(NPT)体制は揺らぎ、北朝鮮に核開発の大義名分を与えることにもなる。

 北朝鮮への対応に何よりも必要なのは日米韓の結束であり、その上に立って北朝鮮に影響力をもつ中国、ロシアとの調整をはかることだ。

 そのために日本が発信すべきは、朝鮮半島を含む北東アジアで「非核」をめざす強いメッセージだ。非核三原則を堅持してきた日本の姿勢は、その主張を支える基盤となる。

 そんないま、日本の非核外交の足元を掘り崩すような発言をする石破氏の見識を疑う。

 石破氏は、核弾頭を積んだ戦略ミサイル潜水艦の米軍横須賀基地(神奈川県)や佐世保基地(長崎県)への寄港を例に挙げたが、北朝鮮に近い日本への寄港は必然性が薄い。周辺国の反発を招き、戦時には日本が攻撃対象になる恐れもある。

 「力対力」に傾く発言が自民党などで相次いでいる。

 首相側近の河井克行・自民党総裁外交特別補佐は「自衛隊が中距離弾道ミサイルや巡航ミサイルを持つ可能性を真剣に検討すべき時期に来ていると考える」と語った。

 脅威に便乗するような強腰の主張が、地域の安定に資することはない。求められるのは、非核三原則や専守防衛といった日本外交の基軸を守った冷静な議論である。

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