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 施設を増やしても、利用希望者の増加に追いつかない。そんな状況が続いている。

 認可保育施設に入れない待機児童の数が3年続けて増え、4月時点で2万6081人になった。自治体が補助する施設に入ったなどの理由で待機児童にカウントされない「隠れ待機児童」も6万9224人いる。

 保育ニーズをしっかり把握し、それに見合う施設の整備を着実に進めなければならない。

 政府は6月、今年度末までに待機児童をゼロにする目標を20年度末まで先送りし、新しい計画を打ち出した。来年度から3年間で新たに約22万人の「受け皿」を整える。

 しかし、肝心の財源の検討は、年末の来年度予算編成時に先送りした。保育士の配置を手厚くするなど「質の向上」に充てるはずの3千億円を巡る議論も置き去りになったままだ。

 自民党からは、幼児教育の無償化に向けて「こども保険」構想が出ているが、新たな財源を生むなら待機児童の解消策に優先して回すべきだろう。

 施設の整備と並行して、育児休業制度の活用にも目を向けたい。子育てを社会全体で支えるという理念を堅持し、家庭任せへと逆戻りしないよう注意しながら、選択肢を増やしたい。

 待機児童の9割近くを占める0~2歳児への対策の一つとして、保育所が見つからない場合に育休を最長2年まで取れる制度が10月から始まる。

 ただ、育休の取得率は女性が8割を超えるのに対し、男性はわずか3%。しかも男性の育休の7割強が2週間未満だ。

 女性の多くは職場の状況や自らのキャリアを考えて1年以内に職場へ復帰している。子育てを女性任せにしたままでは、新たな制度の利用は広がらない。夫婦が協力して育休を取るよう促す仕掛けが不可欠だ。

 男性の子育て参加や育休取得を広げる啓発活動は大事だが、男性が育休を取ろうとしないのは、家計収入が減ることへの不安が大きいからでもある。雇用保険から出る給付金をより厚くすることも考えてはどうか。

 育休明けの家庭の子どもがスムーズに保育所に入れるよう、運用面での工夫も問われる。子どもを0歳から保育所に預ける人には、1歳になってからでは預け先を見つけるのが難しいからと育休を早々に切り上げる例もある。厚生労働省は「入園予約制」の導入を市町村に促しているが、実効性のある仕組みに練り上げてほしい。

 多様な施策を総動員し、待機児童の解消を急ぎたい。

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