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 沖縄県尖閣諸島の3島を日本政府が国有化してから、5年になる。

 領有権を主張する中国が反発し、日中関係は一時最悪の状況に陥ったが、このところ停滞の中にも改善傾向がみられる。

 だが、安倍政権と習近平(シーチンピン)政権の間では、信頼関係ができたと言うにはほど遠いようだ。

 日中にとって、東アジア地域の平和と繁栄は共通の利益である。それが今、北朝鮮のミサイル発射と核実験によって脅かされている。にもかかわらず、両首脳間で直接の意思疎通がないのは異様というべきだ。

 尖閣の国有化後、中国の国家主席も首相も来日していない。首脳会談は国際会議のときに、短時間できただけだ。関係改善の余地はまだまだ大きい。

 尖閣周辺海域の状況も依然、厳しい。中国の公船による日本領海への侵入が繰り返されている。中国漁船とともに近づき、「公務執行」の事実を積み重ねているようにみえる。

 こうした緊張を高める不毛な行動を中国はやめるべきだ。

 問題は尖閣にとどまらない。中国軍の海洋進出が強まっている。艦船による日本の海峡などの航行や、航空機の接近が目立つようになった。

 日本側も、この5年で変わった。集団的自衛権の行使を含む安保関連法を施行したほか、南西諸島の防衛を強化している。中国がそれも意識しつつ、さらなる軍拡を進めている。

 そもそも両国の間には、自由民主主義と共産党支配という根本的な体制の違いがある。だが一方で、長年にわたる貿易と投資、人的交流の太い結びつきがあり、相互依存は強固だ。

 新興大国・中国に対しては、どの国も協力と対抗の両面を抱えざるをえない。ただ、日本の外交は後者に偏りがちだった。

 その意味では最近、習政権の「一帯一路」構想に日本政府が示した協力姿勢はバランスの修正を図ったものといえる。

 尖閣国有化からさらに5年前は07年。第1次安倍政権の下で日中関係が改善し、温家宝首相が来日した。その翌年には胡錦濤国家主席が訪れ、相互信頼をうたう共同声明をまとめた。

 ついこの間まで、そんな関係だったことを思い出したい。

 安保面では、偶発的な衝突を防ぐ連絡態勢作りを急ぎたい。経済や環境ではもっと互恵関係を広げたい。地道な努力で関係の再構築を図るほかない。

 まずは延期されている日本での日中韓サミットの開催をめざし、日本政府が中国に働きかけを強めてはどうか。

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