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 混迷に終止符を打ち、再建へ踏み出せるだろうか。

 経営危機が続く東芝が、難航していた半導体事業の売却先決定にこぎ着けた。投資ファンドやメーカーなどからなる「日米韓連合」に2兆円で売る。

 半導体で協業してきた米ウエスタンデジタル(WD)は猛反発し、争い続ける構えだ。その行方次第で波乱も予想されるが、ひとまず道筋をつけた。

 今年初めに売却方針を表明した後、東芝はWDとの対立などに振り回され続けた。売却先の有力候補は二転三転し、決定が数カ月遅れた。その裏では半導体技術の海外流出を懸念する経済産業省が介入し、取引銀行は自らの損失回避に躍起だった。

 だれが物事を決めているのか、責任の所在が見えにくく、再建の先行きに不安が募る。

 まず問われるのは、東芝経営陣の主体性だ。

 虎の子の半導体事業の売却は、米国の原発事業で抱えた巨額損失を穴埋めするための苦肉の策だ。従業員や取引先、株主の動揺を抑えるためにも早い決着が期待されたが、意見がまとまらない様子がしばしば伝えられた。綱川智社長らの求心力に疑問符がつく状況である。

 上場廃止を避けるには、今年度中に売却手続きを終えて債務超過から脱する必要がある。この先も時間との戦いが続き、WDとの紛争解決や、各国の独占禁止当局の審査が課題となる。

 これとは別に、15年に発覚した不正会計を受けて、東京証券取引所による上場維持の審査も続く。監査法人との対立で16年度決算への意見が「限定つき適正」にとどまるなど、経営陣への視線は厳しい。存亡の危機にあるとの緊張感を持つべきだ。

 そして、経産省である。

 日米韓連合には、政府系の産業革新機構と日本政策投資銀行が加わる方向だ。WDとの対立が解消したら、数千億円を出資するという。両機関が受け皿へ名乗りをあげたのは経産省の強い意向が働いたからだ。同省幹部が水面下で東芝やWDをはじめ関係者と協議を重ねるなど「官製買収」の色が濃い。

 民間ビジネスに官が深く介入するのは異例だ。その必要があるなら具体的に説明するべきだろう。革新機構などを通じて巨額の公的資金を投じれば、厳しい国際競争のなかで事業の価値を高められるかが問われる。

 投資が失敗すれば、国民負担で尻ぬぐいすることにもなりかねない。政投銀が出資した半導体会社が5年前に経営破綻(はたん)した苦い経験もある。同じ過ちを繰り返してはならない。

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