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 原発を将来にわたって使い続けるのか。それとも、なくしていくのか。

 衆院選では原発政策が主な争点の一つになりそうだ。国政選挙では他の政策の陰に隠れがちだったが、今回は新党「希望の党」が脱原発を打ち出し、注目を集めている。

 原発問題は社会のあり方を左右する。各党は、再稼働や中長期的な位置づけについて、公約で具体的に示すべきだ。

 甚大な被害を出した福島第一原発の事故から6年余り。避難者は今も5万人を超え、廃炉作業などの後始末もいつまで続くのか見通せないままだ。

 一方で、再稼働の動きは進む。世論調査では反対が多数を占める状況が続くが、すでに12基が原子力規制委員会の審査を通り、うち5基は再稼働した。

 まず問われるのは、「原発回帰」を進めてきた与党である。

 自民党は、原発を基幹電源と位置づけて活用する姿勢だ。「原発依存度を低減させる」ともうたってきたが、安倍政権は30年度に発電量の2割を原発でまかなう方針を示す。30基ほどを動かす計算だ。「低減」はまやかしと言うほかない。

 連立を組む公明党の姿勢もわかりにくい。「原発ゼロをめざす」と公約してきたが、実際は自民のやり方を追認しているようにしか見えない。

 自公は30年度以降を含め将来の姿を詳しく示すべきだ。原発を使い続けるのなら、「核のごみ」の最終処分や核燃料サイクルについても、いっそう説得力のある解決策が求められる。国民に不人気だからといって、説明や議論を避けてはならない。

 一方、与党への対抗勢力をめざす希望の党は、小池百合子代表が「30年までに原発ゼロにする行程を検討する」と語る。

 党自体が急ごしらえだけに、本気度が問われる。脱原発には、地球温暖化対策と両立させるために再生可能エネルギーや省エネをどう普及させるかや、予想される発電コスト増加への対処など、難しい課題がある。

 候補者選びと公約づくりを並行して進めるあわただしい展開で、衆院選までの時間も少ないが、原発をなくしていく道筋をできるだけ具体的に描く必要がある。

 公約の具体性や実効性を求められるのは、脱原発を訴える他の野党も同様だ。

 本来、エネルギー政策には幅広い国民の理解が大切だが、福島の事故以降、信頼は失われたままだ。有権者がしっかり考えて将来像を選べるように、活発な論戦を期待したい。

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