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 政権交代可能な政治の一翼をめざしてきた野党第1党が、これほどたやすく崩壊するとは。驚き、嘆く人も多かろう。

 民進党の枝野幸男氏が「立憲民主党」結成を表明した。小池百合子・東京都知事の「希望の党」に合流しない前議員らの受け皿として衆院選に臨む。

 枝野氏は民進党の理念・政策を引き継ぎ、安倍政権の暴走に歯止めをかけるため「幅広い市民と連携していく」と述べた。

 一方の希望の党は、大阪が地盤の日本維新の会と候補者のすみ分けで合意した。

 安倍首相の衆院解散表明から10日足らず。政治の光景は大きく様変わりし、自民・公明の連立与党、希望と維新、立憲民主や共産などの3極が競う衆院選の構図が見えてきた。

 ここ数年、野党と市民がすすめてきた共闘の流れは立憲民主党が引き継ぐ見通しだ。だが、結果として自公との「1対1」の対決構図をつくるという目標は果たせそうにない。

 混迷の発端は、首相の「大義なき解散」だった。野党の選挙準備が整わない隙を突き、「今なら勝てる」と踏み切った。

 だが民進党の対応にも、大義があるとは言えない。

 民進党の前原誠司代表は「名を捨てて実を取る」と公認予定者全員での合流を前提に党内の合意を取り付けたが、小池氏から「全員を受け入れることはさらさらない」「排除いたします」とあっさり拒まれた。

 公党の合流について、党首同士がこれほど食い違うこと自体が信じられない。前原氏の責任は極めて重い。

 さらに理解できないのは、民進党の前議員たちの態度だ。希望の公認を求めて、希望が示す政策に唯々諾々と従うのか。

 党を挙げて違憲だと訴えてきた安全保障関連法について、希望は容認を迫る構えだ。

 消費税に関しても、前原氏は「増税の増収分を教育無償化などにあてる」と主張し、9月の代表選で勝った。「消費増税凍結」を掲げる希望とは違う。

 一連の経緯や軽々しい政策の扱いを見れば、選挙での生き残りを優先した前議員たちの思惑だけが目立った。

 めざす政治を実現させるには選挙で勝たねばならない。そんな思いもあるだろう。だが理念や政策を捨て去れば、それは「権力ゲーム」でしかない。

 民進党の崩壊は、ここ20年来、「政権交代可能な政治」をめざしてきた政治改革の歩みを振り出しに戻しかねない。

 その先にあるのは政党政治の危機である。

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