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 「日本をリセット」して、何をめざすのか。相変わらず、その核心部分が像を結ばない。

 小池百合子・東京都知事率いる「希望の党」が衆院選の公認候補192人を発表した。さらに追加し、最終的に過半数に届く候補を擁立したいという。

 衆院選は「自民・公明」「希望・維新」「立憲民主党や共産党など野党共闘勢力」の三つどもえの構図となることが、いっそう鮮明になった。

 小池氏は衆院選での政権奪取に意欲を示す。だが見えてきたのは希望と自民党の対立軸というよりむしろ、近さである。

 たとえば民進党からの合流組に、希望が公認の条件として署名を求めた政策協定書だ。

 民進党が廃止を求めてきた安全保障法制については「適切に運用する」と明記されている。憲法改正については「支持」するとされた。外国人への地方参政権付与には「反対」と右派色の濃い主張も盛られている。

 「社会の分断を包摂する、寛容な改革保守」という党の綱領と、どう整合するのか。

 一方、自民党との明確な対立軸になり得る「原発ゼロ」については協定書に記載がない。

 多くの選挙区でほかの野党との競合が目立つのも疑問だ。非自民でつぶし合うような候補擁立は結果として、安倍政権を利することになる。

 小池氏自身は立候補を否定している。では、選挙後の首相指名投票でだれに投じるのか。党運営をだれが統括するのか。

 誕生したばかりの希望の党の統治能力は未知数だ。政治経験の乏しい候補も多い。選挙結果によっては、実質的に自民党の補完勢力になりはしないか。

 そんな懸念がぬぐえないのは、小池氏が自らの自民党時代の総括をしていないからだ。しがらみを断ち切って、何をするのか。自民党ではなぜできないのかを語るべきだ。

 菅官房長官は「政策に賛同いただくのであれば、しっかり対応していく」と、選挙後の希望との連携に期待を示す。

 希望が政局の主導権を握ったとしても、参院は自公が圧倒的な議席を占める。希望と自公が手を組むシナリオが早くも自民党内でささやかれている。

 今回の衆院選は、おごりと緩みが見える「安倍1強」の5年間への審判と、次の4年をだれに託すかの選択である。

 「安倍政治」をどう評価し、どこを変えるのか。

 まずそこを明確に説明することこそ、全国規模で候補を擁立し、政権選択選挙に挑む政党の最低限の責任ではないか。

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