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 第48回衆議院選挙が10日公示され、12日間の選挙戦が始まった。2019年10月に予定される消費税率10%への引き上げや憲法改正などをめぐり論戦が交わされる。安倍晋三首相による5年間の政権運営の是非について、政権継続を唱える与党の自民、公明両党に、小池百合子・東京都知事が立ち上げた希望の党と日本維新の会のほか、共産党と立憲民主党、社民党が挑む「3極」の構図が固まった。22日に投票、即日開票される。▼2~8.16.17面に関係記事

 自民党総裁の安倍首相は10日午前、福島市内で第一声。核・弾道ミサイル開発をやめない北朝鮮の問題を取り上げ、「脅威にいかに取り組むか決める選挙だ。圧力をかけていかないといけない」と訴えた。また、消費増税の使い道を変更し、保育園・幼稚園の費用無償化などに充てる方針について「子供たちの世代に思い切って投資する決断をした」と強調した。

 公明党の山口那津男代表は北海道岩見沢市で街頭演説。首相が掲げた消費増税の使い道変更に歩調を合わせ、教育負担の軽減を前面に出す。「急速に少子高齢化が進む。消費税10%を生かし、税収の使い道を大きく変えて、子育て、高齢化対策に使わせてほしい」と主張した。

 公示前勢力で野党第1党となった希望の党代表の小池氏は立候補を届け出ず、東京のJR池袋駅前で第一声。「消費増税分の使い道を変えるために総選挙をやるというが、そんなしょぼい話では間に合わない。増税を延期する」と表明。森友・加計(かけ)問題で政治の信頼が揺らいでいるとし、「重要なのは政治への信頼の取り戻し。『安倍1強政治』を終わらせよう」と訴えた。

 希望の党と一部地域で候補者をすみ分けた日本維新の会は、消費増税「凍結」を掲げる。松井一郎代表(大阪府知事)は大阪市中央区で「増税することなく、教育の無償化はできる。役所のお金の使い方を見直してから増税を考えよう」と強調した。

 共産党は、安全保障関連法反対で一致する立憲民主党、社民党と歩調を合わせる。志位和夫委員長は東京のJR新宿駅前で街頭演説。「憲法をこれだけないがしろにしてきた政権はかつてない。総選挙の最大の争点は、安倍暴走政治をこのまま続けていいのかにある」と唱えた。

 立憲民主党の枝野幸男代表は仙台市役所前で第一声。「自己責任をあおるのは、政治の責任放棄ではないか。多くの国民があきらめていた、真っ当な政治を取り戻し、真っ当な暮らしを取り戻すために結党した」と訴えた。

 社民党の吉田忠智党首は大分県臼杵市で演説。首相が打ち出した憲法に自衛隊を明記する改憲案について「9条に自衛隊を書き込むことは、憲法違反の安保関連法にお墨付きを与える」と反対を表明した。

 日本のこころの中野正志代表は、参院議員会館で「日本のお国柄が条文に盛り込まれた憲法をつくらなければならない。安倍首相のときに仕上げたい」と語った。

 ■1170人超が立候補

 立候補の届け出は10日午前8時半に始まった。朝日新聞の午後1時15分現在の集計によると、定数465に対し、小選挙区・比例区を合わせて1170人超が届け出た。1191人が立候補した前回2014年12月の衆院選並みとなる。

 今回から一票の格差を是正するため、小選挙区は「0増6減」が導入された。また、比例区は「0増4減」となり、衆院の定数は475から465(小選挙区289、比例区176)へ10減る。

 主な政党別では、選挙協力を行う連立与党の自民、公明両党は計385人を擁立。自民党は332人、公明党は53人を届け出た。首相は勝敗ラインについて「自公で過半数(233議席)」と唱えている。

 野党第1党だった民進党は小池百合子・東京都知事率いる希望の党の結成を受け、事実上解党。民進党議員は希望の党、立憲民主党、無所属に分裂した。希望の党は日本維新の会と小選挙区でのすみ分けを行い、235人を擁立。日本維新の会は52人を立てた。

 共産党は243人、立憲民主党は78人、社民党は21人を擁立した。共産党は立候補予定者の一部を取り下げ、共産、立憲、社民3党は250近くの小選挙区で候補者を一本化した。

 諸派のうち、幸福実現党は76人を立てた。

 ■9条への姿勢、争点 増税・原発・「森友・加計」も

 安倍首相による冒頭解散、野党第1党の民進党の分裂と再編劇の中、十分な政策論争を欠いたまま選挙戦の号砲が鳴った。慌ただしく始まった今回の衆院選だが、結果次第では日本の進む道を大きく左右するテーマが争点となる。

 一つは憲法だ。

 自民党は公約で憲法改正を柱と位置づけた。安倍首相は9条への自衛隊明記を提案しており、「明記で(違憲か合憲かの)不毛な論争をなくしたい」と意欲を示す。

 憲法をめぐる与野党の対立構図は様変わりした。希望の党と日本維新の会は9条を含めた改正論議への積極姿勢を掲げる。希望の小池代表は緊迫する国際情勢から「論議は避けて通れない」とした。共産党や立憲民主党は安倍首相が提案する改正に反対するが、選挙後の改憲をめざす勢力の連携によっては、改憲に向けた動きが一気に進む可能性がある。

 安倍首相が解散の大義とした消費増税では、対立軸が明確だ。2019年10月の消費増税の使い道を変え、借金の穴埋めに使う分を教育無償化などに回すとする与党。これに対し、野党は一斉に増税の凍結や中止を打ち出した。

 野党が原発と距離を置く政策を掲げたことで、エネルギー政策も争点になる。

 福島第一原発の事故から6年半。原発の活用に積極的な安倍政権下では、新基準に適合した3原発5基が再稼働した。対する希望や立憲は「原発ゼロ」を主張する。

 政策テーマに加え、安全保障関連法、「共謀罪」法の強行成立や、森友・加計問題への首相の対応など、安倍政権の5年間も厳しく問われることになる。(木村和規)

 ■党派別の立候補数

 合計定数465 小選挙区定数289 比例区定数176 重複 公示前勢力

自民  332     277      313   258 284

希望  235     198      234   197  57

公明   53       9       44     0  34

共産  243     206       65    28  21

立憲   78      63       77    62  15

維新   52      47       52    47  14

社民   21      19       21    19   2

こころ   2       0        2     0   0

諸派   89      42       47     0   0

無所属  72      72        ―     ―  38

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計  1177     933      855   611 465

 ※定数10減。公示前勢力は、解散後の党派異動を含む前職数(欠員3、民進の不出馬7人は除く)

 <おことわり> 立候補数は10日午後1時20分現在の本社集計。選挙期間中、公正を期すため、写真の党名や候補者名を消す場合があります。

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