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 必要な措置はひととおり盛り込まれた。だが、具体的な数値目標や水準が示されない項目が多いのは、どうしたことか。

 閣議決定された第3期がん対策推進基本計画のことだ。

 今後6年間の施策の指針となるもので、小児や働く世代に加え、思春期や若年成人、高齢者への支援・診療体制をつくる必要性が明記された。また、遺伝情報をもとに治療方針を決める「ゲノム医療」の推進をうたうなど、これまでの計画以上に手厚い内容になっている。

 しかし各施策の個別目標を見ると、「検討する」「進める」などの表現が多い。これでは実現への道筋が見えず、将来、成果を分析し、評価・検証する作業が難しくなりかねない。

 たとえば、どこまで治療するのが患者本人のためになるか、判断が難しい高齢者について、「診療ガイドラインを策定した上で、拠点病院等に普及することを検討する」とある。

 大切なのは、普及でも検討でもない。患者の要求にかない、生活の質の向上につながる診療が、現場でどれだけ行われるかだ。その視点で目標を設定するべきではなかったか。

 第2期までの計画にあった、75歳未満のがん死亡率(10万人あたりの死亡人数)を「10年間で20%減らす」という目標も、今回なくなった。15年までの10年間の実績は16%の減少。「死亡率にばかりこだわるべきではない」との考えはあるものの、再び目標を達成できなかったときの批判を恐れたとすれば、本末転倒ではないか。

 数値目標がなくなると知り、「対策の評価が難しくなる」などとして、独自に目標を設けることを決めた県もある。

 一方、がんの早期発見に関しては、検診の受診率を50%(現在30~40%台)に、そこで異常が見つかったときの精密検査の受診率を90%に、それぞれ引きあげることが設定された。

 人々に検診の重要性が伝わっていないのか。仕事を休めないなどの事情があるのか。好成績の自治体はどんな工夫をしているか。原因を分析し、効果的な対策につなげてもらいたい。

 焦点だった受動喫煙対策は、法律でどんな規制をするか、政府と与党の調整がついていないため、先送りとなった。

 社説でくり返し主張してきたように、職場や家庭、飲食店での受動喫煙をすべてゼロにするとの考えを、計画にはっきり書くべきだ。周知や準備の期間を考えると、東京五輪・パラリンピックの20年まで猶予はない。これ以上の遅れは許されない。

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