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 またも「数の力」を振り回す安倍政権の立法府軽視である。

 政府・自民党が、国会での野党の質問時間を削ろうとしている。議席の割合より野党に手厚い現状を見直すというのだ。

 衆院選での大勝を受けて、安倍首相が「これだけの民意をいただいた。我々の発言内容にも国民が注目している」と自民党幹部に指示したという。

 決して容認できない。

 国会議員は全国民の代表であり、質問の機会もできる限り均等に与えられるべきではある。

 ただ、自民、公明の与党は政府が法案や予算案を国会に出す前に説明を受け、了承する。その過程で意見は反映されるので、質問は政府を後押しするものがほとんどだ。

 だからこそ、法案や予算案を厳しくチェックするのは野党の大事な役割だ。その質問時間を大幅に削れば、国会審議は骨抜きになりかねない。

 たとえば、ことしの「共謀罪」法の審議はどうだったか。

 政府は「成案が得られていない」と野党の質疑をはねつけたまま、与党と対象犯罪を絞り込むなどの実質的な修正をし、法案を閣議決定した。野党も加わった質疑は2カ月ほどで、参院では委員会審議を打ち切る不正常な状態で強行成立させた。

 昨年のカジノ法審議では、質問時間の余った自民党議員が般若心経を唱える場面もあった。

 こんな状況のまま、議員数に応じた時間配分にすればどうなるのか。衆院予算委員会の質問時間は、近年一般的とされる「与党2対野党8」が、「7対3」へと逆転する。

 そうなれば、法案や予算案の問題点をただし、広く国民に知らせる立法府の機能は確実に低下し、空洞化するだろう。

 森友・加計学園問題のような野党による疑惑追及の場も、限定されるに違いない。それが首相の狙いにも見える。

 首相に問う。

 加計問題で国会での説明を求められると、「国会が決めること」とかわしてきた。なのになぜ、まさに国会が決めるべき質問時間の配分に口を出すのか。

 行政府の長として三権分立への理解を欠いたふるまいと言うほかない。最後は多数決で決めるにしても、少数者の声にも耳を傾ける。議会制民主主義のあるべき姿からも程遠い。

 安倍政権はきょう召集する特別国会で実質審議に応じるのかどうかさえ、明確にしない。

 「いままで以上に謙虚な姿勢で真摯(しんし)な政権運営に努める」

 選挙後、そう誓った首相の言葉は何だったのか。

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