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 株式の値上がりが続いている。先週末には、日経平均株価が25年ぶりの高値をうかがう水準になった。80年代末のバブル崩壊後、長期にわたった低迷から抜け出るのであれば、歓迎できる動きだ。

 株価は様々な要因で上下するが、足元の上昇は、世界的な景気回復を背景に、日本企業の収益が好転したことの反映といえる。経済実態と見合った動きであり、株価と企業利益を比べた指標でみても、「過熱」とは言えない水準だろう。

 北朝鮮情勢や景気反転の可能性など、先行きの不透明さがないわけではない。だが、市場を弱気が覆っていた時代は終わりつつあるようだ。

 ただ、それに伴って考え直すべきことがある。日本銀行による上場投資信託(ETF)の買い入れである。

 日銀は、株式市場から年間約6兆円のETF購入を続けている。白川方明総裁時代の2010年に始めた異例の政策で、黒田東彦総裁になってからは「異次元緩和」の一環として買い入れ額を大きく上積みしてきた。

 経済の先行きに強い不安があるときは、株式など値下がりのリスクがある資産への需要が過度に減ってしまう。そうしたリスク回避の傾向を弱めたい、というのがこの政策の狙いだ。昨年7月に買い入れ額を倍増したときも、「英国のEU離脱決定で、世界経済の不確実性や不透明性が非常に高まったため」と説明された。

 日銀が目標とする「物価上昇率2%」は、いぜん達成のメドが立たない。だが、株式市場については、経済の先行き不安は遠のき、リスク回避の傾向も弱まっているのではないか。だとすれば、今の規模の買い入れを続ける理由は乏しい。

 今後も株価上昇が続いた場合、日銀の買い入れが市場の過熱につながる恐れもある。相場が乱高下すれば、経済の好循環の足を引っ張りかねない。

 日銀による巨額の株式購入については、株価を下支えすることへの批判や、株主による経営監視が緩み、企業統治に悪影響をもたらす恐れがあるとの議論もある。所期の目的を果たしたのであれば、手じまいの道筋を考える潮時だろう。

 黒田総裁は最近の会見で、買い入れ目標額や達成期間は幅のある表現にしてあると説明したが、あいまいな姿勢は市場の思惑を誘いかねない。一方で、市場参加者が予測できないかたちで急に動けば、混乱を招く危険もある。丁寧に情報を発信しつつ、早めに手を打つべきだ。

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