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 来日したトランプ米大統領と安倍首相が会談し、核・ミサイル開発を続ける北朝鮮への圧力強化に向けて結束を確認した。

 アジア歴訪の最初の訪問国である日本で、両首脳が互いの絆の強さを改めて示した。

 会談後の共同記者会見で首相は、日米が「北朝鮮への圧力を最大限まで高めていくことで完全に一致した」と強調した。だが圧力は対話のための手段であり、そこに導く粘り強い外交努力が日米双方に求められる。

 その環境づくりのために問われるのは、今回、日米で共有した認識を韓国、中国、ロシア、さらにはアジア各国とどう調整していくかだ。

 とりわけ北朝鮮の後ろ盾とされる中国の協力は欠かせない。両首脳が中国について「さらに大きな役割を果たしていくことが重要」との認識で一致したのは当然だろう。

 留意が必要なのは、両首脳が日米共通のアジア戦略として掲げた「自由で開かれたインド太平洋」構想だ。

 日米に加えインド、豪州の4カ国を中心に太平洋からインド洋にかけて、航行の自由や法の支配、公正で自由で互恵的な貿易などに基づく開かれた秩序を築く。そんな構想である。

 「自国第一主義」に傾くトランプ政権が、アジアに関与すること自体には意味がある。

 ただ、中国の習近平(シーチンピン)国家主席が提唱したシルクロード経済圏構想「一帯一路」に対抗する概念と読み取れないようにする必要がある。

 日米と中国が張り合う形になれば、中国との摩擦を嫌う東南アジア諸国連合(ASEAN)の国々は尻込みしかねない。

 北朝鮮への対応で日米と中国が足並みをそろえるためにも、対中牽制(けんせい)が過度に前面に出ることは望ましくない。

 8日からの大統領の中国訪問に加え、首相も10日からのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議などの機会に習主席やロシアのプーチン大統領との会談に意欲を示している。そこで対北朝鮮対応でどう歩調をあわせるかが問われる。

 共同会見で驚いたのは、対日貿易赤字を問題視するトランプ氏が「非常に重要なのは、日本が膨大な兵器を追加で買うことだ。多くの雇用が私たちのために生まれ、日本はもっと安全になる」と露骨に迫ったことだ。

 喫緊の安全保障と通商問題を絡めるのは不穏当だ。必要性を判断するのは日本自身である。

 日米の結束をアジアに広げていきたいなら、米国の真意を疑わせる発言は慎むべきだ。

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