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 風力や太陽光など、再生可能エネルギーによる発電を普及させていくことは、脱原発と温暖化対策の両立に欠かせない。

 ところが、送電線への接続問題が大きな壁としてたちふさがっている。送電線を持つ電力大手が「空きがない」と主張し、再エネ業者が何年もの期間と多額の負担金がかかる送電線増強を嫌って計画を断念する。昨春、東北電力が北東北で「空き容量ゼロ」と発表して以来、そんな例が各地で相次ぐ。

 本当に空きはないのか。京都大学の研究グループが青森と秋田、岩手、山形4県の基幹送電線について、全国の送電網利用を監督する公的機関が公表したデータを基に分析すると、実際には2~18%余りしか使われていないことがわかった。北海道でも同様の結果だった。

 電力大手各社は空き容量の計算方法の詳細を明らかにしていないが、基本的には先着順に接続契約している発電設備がすべてフル稼働した状況を前提にしているという。今は止まっている原発はもちろん、未完成の原発なども計算に含めている。

 あまりにも不合理だ。経済産業省と公的機関はそれぞれ改善策の検討に入っているが、透明で公平なルール作りを急がねばならない。

 この問題を考える時、忘れてならないのは、送電線はだれのものかという視点である。

 法的な所有権こそ電力大手にあるが、その建設と維持の費用は電力料金の算定に織り込まれている。電気の利用者、すなわち広く国民の負担で整備してきた公共物そのものと言える。

 電力会社が原発など自らの発電設備への「予約」を優先し、再エネ電力を締め出すような仕組みはおかしい。既存の送電線を最大限に活用し、新たな負担をできるだけ抑えるためにも、見直しは不可欠である。

 電力大手側は「公表データは現状の一断面で、これだけで設備増強の要否を評価すべきではない」(東北電力)などと言うが、その前に詳細な状況を開示するべきだ。データを独占して議論を誘導するようなら、意図的に参入障壁を作っていると疑われてもやむをえまい。

 発電と送電の分離が進んだ欧米では、出力の変動が大きな再エネも接続したうえで、停電などの問題が起きないよう制御する仕組みをさまざまな工夫で実現している。

 日本も2020年に発送電の分離を予定する。送電線の空き問題への対応は、分離後の透明で公平な態勢づくりへの試金石でもある。

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