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 アジアの安定に向けて日中が役割を果たせるよう、両首脳の粘り強い努力を期待する。

 安倍首相が中国の習近平(シーチンピン)国家主席と訪問先のベトナムで会談し、関係改善で一致した。

 象徴的なのは、この首脳会談を「日中関係の新たなスタートになる会談だ」と位置づけた習氏の言葉である。

 中国共産党大会を終えた習氏と、衆院選で圧勝した安倍氏。ともに政権基盤を固めた両首脳にとって、長く停滞してきた日中関係を仕切り直す環境が整ったということだろう。

 この機運を生かしたい。一度も実現していない両首脳の相互訪問など日中関係の進展はもちろん、アジアの安定に向けた両国の協力につなげてほしい。

 いま日中が角を突き合わせている場合ではない。喫緊の課題は、北朝鮮の核・ミサイル開発による挑発にどう歯止めをかけるかだ。

 会談で両首脳は、国連制裁の完全な履行に向けた緊密な連携を確認した。

 北朝鮮の最大の貿易相手国である中国の協力がなければ、制裁の実効性は保てない。中国もこれ以上、北朝鮮への制御が利かなくなる事態は避けたい。

 ただ、対話重視の中国と、圧力重視の日本とでは力点に違いもある。米韓、さらにはロシアと歩調をあわせて北朝鮮の非核化をどう実現するか、日中間の綿密な調整が求められる。

 先の日米首脳会談で共通戦略として打ち出した「自由で開かれたインド太平洋戦略」も、中国のシルクロード経済圏構想「一帯一路」と競り合うばかりではなく、日中で協力の余地がないかを検討すべきだ。

 中国が重視する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)も同様だ。立場に違いはあっても、多国間の枠組みをめざす日中の方向性は一致している。接点を見いだす努力が必要だ。

 一方、東シナ海や南シナ海での中国の強引な海洋進出は地域に影を落とし続けている。

 中国側によると、習氏は会談で「互いに脅威にならないという戦略的共通認識を体現することを希望する」と強調した。ならば中国も、脅威になるような行動をとるべきではない。

 安倍首相はきのう李克強(リーコーチアン)首相ともフィリピンで会談。日中の関係改善を印象づけた。

 日本にとって、日米同盟や日米韓の連携は欠かせないが、それだけで十分ではない。

 アジアの責任ある二つの大国が認識と行動をともにする。一歩一歩の努力の先にこそ、地域安定への道は見えてくる。

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