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 衆院選から3週間余。争点の一つだった加計学園の問題をめぐる国会審議が、きのう衆院文部科学委員会で行われた。

 衆院選で勝った安倍首相は強い権力を再び手にした。だからこそ、行政府を監視する立法府の役割はさらに重みを増す。

 その使命には本来、与野党の違いはないはずだ。

 だが自民党から質問に立った義家弘介氏は、8月まで学園の獣医学部新設のプロセスに関わった文科副大臣だった。先の通常国会では政府側の答弁者を務めた、いわば当事者だ。

 その義家氏が強調したのは一連の政府手続きの正当性だ。部下だった文科官僚と歩調をあわせ、「きちっと手続きを踏みながら歩んできた」と主張した。

 際だったのは政府と与党の一体性である。

 一方、立憲民主党の逢坂誠二氏は、国家戦略特区の審査過程が不透明だと追及した。

 加計の計画が獣医学部新設を認める要件を満たしていると、だれがどう判断したのか。記録に残っているのか。

 政府側は「一つひとつの詳細は残っていないが、会議の結論は(記録に)残っている」と具体的な根拠は示さなかった。

 希望の党の山井和則氏は、首相と学園の加計孝太郎理事長がゴルフや会食を重ねていたことを改めて指摘。首相は特区基本方針で審議や議決に関われない「利害関係者」に当たるのではないかとただした。

 与党に行政監視の役割を期待できないなら、野党の役割はいっそう重要だ。だが、その野党の質問時間が十分に確保されなくなるかもしれない。

 衆院選の大勝を受けて、自民党が野党の質問時間を削る要求を強めているからだ。

 きのうの文科委員会をめぐっても、野党は近年の実績をもとに「野党8、与党2」の割合を求めたが、自民党は「与党5、野党5」を主張した。

 最終的に「野党2、与党1」で折り合ったが、野党による政府追及の場を少しでも減らしたい与党の狙いは明らかだ。これでは国会による行政監視そのものが弱体化しかねない。

 数におごった自民党の慢心にほかならない。これが衆院選で首相が国民に誓った「謙虚」で「真摯(しんし)」な政治のあり方なのか。直ちに撤回すべきだ。

 政府は獣医学部新設を認可したが、そこに首相や周辺の意向が働かなかったのか。疑問は解消されていない。

 この特別国会で、首相みずから十分な説明責任を果たすべきなのは当然のことだ。

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