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 自民党が憲法改正推進本部の会合を開き、改憲に向けた議論を再開した。

 衆院選で自民党は、自衛隊の明記▽教育の無償化・充実強化▽緊急事態対応▽参院の合区解消の4項目を公約にうたった。公明党とあわせた与党で、改憲発議に必要な3分の2を上回る議席を獲得した。

 与野党を問わず、国会議員の改憲志向は強まっている。本紙と東大の調査では、当選者の82%が改憲に賛成姿勢だった。

 一方で、国民の意識と大きなズレがあるのも確かだ。

 本紙の今月の世論調査で「首相に一番力を入れてほしい政策」を聞くと、社会保障32%、景気・雇用20%、教育15%などが高く、憲法改正は6%にとどまった。

 自民、公明両党にも温度差がある。公明党の山口那津男代表は最近、こう指摘した。

 「発議は、国会内の多数派工作で可能な場合もあるが、国民投票でぎりぎりの過半数では大きな反対勢力が残ってしまう。国民の憲法としては不幸な誕生になる。発議の3分の2の背景には、それ以上の国民の支持があるくらいの状況が望ましい」

 見識だろう。

 国会による発議にこぎつけたとしても、最終的に改憲の是非を決めるのは主権者である国民による投票だ。

 国民の納得が不十分なまま強引に発議に持ち込めば、国民投票の結果がどうあれ、国民の間に深刻な分断をもたらす恐れさえある。

 憲法のどこに、どんな問題があるのか。その問題は憲法を改めなければ解消できないのか。他の政策課題より先に、いま改憲を急ぐ必要性はあるのか。

 まず衆参両院の憲法審査会での超党派の議論が重要だ。

 少数意見を排除せず、丁寧な議論を積み重ねる。少なくとも野党第1党の賛成をえる。

 手順をふんだ合意づくりの努力を尽くすことしか、国民の幅広い納得をえる道はない。

 安倍首相は5月に憲法への自衛隊明記を訴え、「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と意欲を示したが、夏以降は「スケジュールありきではない」と述べている。

 当然の姿勢だろう。

 何よりも大事なのは、国民の多くがその改憲は必要だと理解し、同意することである。

 改憲ありきの姿勢は厳に慎むべきだ。

 ましてや安倍氏自身の首相在任中の施行を視野に、期限を区切るようなやり方では、国民の合意は広がらない。

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