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 東京五輪・パラリンピックの開催まで1千日を切った。

 巨大プロジェクトである五輪には、国、東京都、そして組織委員会と、さまざまな機関がかかわる。将来にわたって国民への説明責任を果たすには、それぞれの活動や意思決定の過程をきちんと記録・保存し、公開する仕組みが欠かせない。

 政府の公文書管理委員会は、東京五輪を「国家・社会として記録を共有すべき歴史的に重要な政策」と位置づける考えを打ち出した。省庁が持つ五輪関連の文書はすべて、国立公文書館等に移管されることになる。

 都議会もこの夏、公文書管理条例を制定した。前からあった情報公開条例とあわせ、「車の両輪」がそろった形だ。

 組織委も同様の問題意識をもち、体制を整える必要がある。

 何といっても、五輪運営の中心となるのは組織委だ。競技会場の選定や見直し、輸送計画づくり、コストの削減など、幅広い分野で都や国などと調整し、決定する役割を担っており、公的な性格がきわめて強い。

 にもかかわらず、公益財団法人である組織委には、公文書管理や情報公開に関する国や都のルールは及ばない。事業計画書や収支予算書、理事会の議事概要などは公開されている。だが将来の検証に堪えうる範囲と内容かという観点からみると、十分とは言いがたい。

 苦い教訓がある。

 98年の長野冬季五輪では、招致委が会計帳簿を勝手に処分してしまい、招致にまつわる買収疑惑の解明がはばまれた。

 組織委は都が50%を出資し、職員の3割にあたる約250人は都から派遣されている。本来、都条例にもとづき、情報公開の努力義務が課せられる団体にあたるが、特別に免除されている。国際オリンピック委員会(IOC)との関係が深く、他の団体とは同列に扱えないという事情による。

 だからといって社会への説明責任を果たさなくてもいいという話には、むろんならない。

 大会準備のため、他の機関とどんな協議を交わしたのか。組織委内でいかなる検討をしたのか。自律的に記録の作成・保存を進め、大会を終えて解散する際には、都など適当な機関にすべてを移管することを、今から取り決めておくべきだ。

 IOCの「アジェンダ2020」は五輪運営の透明化をうたう。膨大な経費がかかり、開催に厳しい視線が向けられる今、市民の理解を得る努力は不可欠だ。オープンな姿勢で新時代の五輪を世界に発信してほしい。

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