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 天皇陛下の退位、および新天皇の即位と改元の日程を話し合う皇室会議が、来月1日に開かれることになった。政府内では「2019年4月30日退位、5月1日即位・改元」が有力視されているという。

 年の途中、しかも年度替わりでもない時期に、元号を変えるという案だ。最近になって唐突に出てきたこともあり、首をひねらざるを得ない。

 朝日新聞がこの夏おこなった世論調査では、5月改元は議論の俎上(そじょう)になく、新しい元号のスタートを「1月1日」とするのに賛成が70%、「年度初めの4月1日」が16%だった。

 改元するのであれば年があらたまるタイミングで、というのはごく自然な考えだ。朝日新聞の社説は「優先すべきは市民の生活」との観点から、「あえて世論に反する措置をとる必要はない」と主張してきた。

 だが宮内庁が難色を示した。年末年始は儀式や宮中祭祀(さいし)が立て込み、19年1月7日には昭和天皇が亡くなって30年の式年祭もあるという理由だ。

 さらに、3月から4月にかけては国の予算案審議や統一地方選が予定されているとして、今度は政権の側から5月案が持ちあがったという。

 国民のことよりも、皇室の私的な行事や政治の都合が優先されている感は否めない。

 見方をかえれば、西暦でものを考えることが国民の間に定着して「元号離れ」が進み、改元時期について、それほど神経をとがらせなくてもいいという現実のあらわれということもできる。昭和から平成、そして新元号への移行によって、この流れはさらに強まるだろう。

 こうした実態をふまえ、今回の改元を機に、公的機関の文書に元号と西暦の併記を義務づけるよう、あらためて提案する。換算の手間や間違いをなくすとともに、国際化の進展に対応するための必要な措置だ。

 先の世論調査では、運転免許証の記載などに西暦使用を支持する人が23%、元号と西暦のどちらも使えるようにするのがいいと答えた人が55%に達した。「元号制度を今後も続けていく方がよい」と答えた層(全体の75%)でも、回答に大きな差はない。政府や自治体は国民の利便をまず考えるべきだ。

 改元それ自体が、時代を画する特別な意味を直ちにもつわけではない。日取りがいつになろうが、多くの国民はその日を自然体で迎え、ふだんの生活を続けるだろう。そうした人々のくらしに及ぼす混乱を最小限に抑えるのが、政府の務めである。

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