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 【筒井次郎】「竜田揚げ」の語源は、紅葉の名所・竜田川――。竜田川が流れる奈良県斑鳩町で、地元でもあまり知られていなかった語源を生かしてご当地グルメを作る計画が進んでいる。世界遺産の法隆寺を訪ねる参拝客を「元祖竜田揚げ」でもてなす試みだ。

 「ちはやぶる神代も聞かず竜田川からくれなゐに水くくるとは」

 百人一首に収められた平安歌人、在原業平(ありわらのなりひら=825~80)の有名な歌。竜田川は奈良県北西部を流れ、古くから紅葉の名所として知られる。

 この紅葉にちなんで名付けられたのが竜田揚げだ。鶏肉などをしょうゆやみりんに漬け込み、片栗粉をまぶして揚げた料理。広辞苑には「揚がった色が赤いので紅葉の名所竜田川に因(ちな)む」と記載されている。だが、地元でもこの由来はあまり知られておらず、竜田揚げは特別扱いされていなかったという。

 昨年、町商工会の会議で竜田揚げが話題になった。このとき初めて語源を知った青年部長の小山祐司さん(33)が中心になって今年8月、「語源の地」らしい竜田揚げの商品化を目指そうと「竜田揚げ上げ↑プロジェクト」を発足。B―1グランプリへの出場や、大和肉鶏を使った高級ギフトの開発を目標に掲げた。

 地元の自営業者ら10人が集い、調理には、町内の中華料理店と和食店が協力する。メンバー有志がイベントの屋台などで竜田揚げのホットドッグや特製だれの丼を提供し、反応をみる。贈答用になる冷凍食品の試作品を作るなど試みを重ね、来春には名前を決め、商品化を目指す。

 小山さんは、法隆寺という観光名所がありながら、参拝客が町を素通りすることが気になっていた。「将来は法隆寺に負けない斑鳩の名物として、町内どの店でも食べられるようにしたい」と意気込む。