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ADHDコーチングという言葉をご存知ですか?

アメリカではADHDの方への支援のひとつとして大変注目されています。これは、ある人のADHDの症状によって難しくなっている学業や仕事や家事などに焦点を当てて、それを達成できるように支援するものです。

主に医療分野におけるカウンセリングとの一番の違いは、モデルにあります。どういうことかというと、医療モデルとよばれる考え方では、その人のどこかに問題点(マイナス)があって、それが原因でなんらかの症状が出ていると考えます。なので、それを修正することで状態がよくなると考え、治療していくわけです。

これまで述べてきた認知行動療法(正確に言えば、第二世代の認知行動療法)も、このモデルに基づいています。「即座に白か黒かの二者択一的に決めつける」という思考をつらくなる原因だと想定して“修正”するわけです。

一方、コーチングでは、ストレングスモデルに基づいています。症状や今起こっている問題の原因に焦点を当てるのではなく、その人のもっている長所や強み、活用できる資源に焦点を当てていくモデルです。

両者のモデルの違いを、ざっくりとたとえ話でお示ししましょう。

「私はどうしても人と話すのが苦手だ」という悩みのある人がいたとしましょう。この人へのアプローチの仕方が各モデルで異なります。

 

【医療モデルの場合】

人と話すのが苦手だという状況を詳しく聞き、たとえば初対面の異性と話すという場面だけが苦手だという場合には、「過去に異性と話すのが苦手になるようなきっかけがあったかどうか」を尋ねます。過去の失恋がトラウマになっているとか、自分の母親とうまくいっていなかったので女性不信だとか、そういう「原因」がみつかるわけです。

原因が見つかれば、そこを分析したり、見方を変えたり、現在の自分に与える影響についても洞察し、修正したり新しい生き方を模索したりします。

 

【ストレングスモデルの場合】

人と話すことは苦手で職場におけるチームプレイに支障があったとしても、この人に人並み外れた集中力や情報収集力、決断力や自立心など他の強みがあったとしたら……独立して起業するのも手ですね。

そう、起業なんて誰もが気軽にできるものではありませんが、一昔前に比べれば働くスタイルは多様化してきました。「会社に定時に出勤し、定年まで一カ所で働き続ける」だけを選択肢にしていてはもったいないでしょう。

特に大人のADHDの方にとって、仕事ほど向き不向きの激しい分野はありません。転職回数が多い事をよくないこととする日本の風土はいまだにありますが、さっさと見切りを付けて、最適な職場環境をみつけて安定するのもひとつの手です。

このように、その人の苦手なところではなく、才能を見いだし、そこを応援します。

 

話を元に戻しましょう。

ADHDコーチングはまさに、後者のストレングスモデルに基づいています。生活における実際的な問題をサポートする、まさに生活のための実践的アドバイスやサポートをくれる伴走者!

ここでご紹介してきたような時間管理についてだけでなく、睡眠や食事などの生活全般についても広く対象にしてくれます。もちろんADHDの特徴である、気乗りしない課題についての動機づけを高める方法を教えてくれたり、先延ばしや注意散漫等の問題への対処を教えてくれたりもします。

日本では、まだまだ普及しておりませんが、「コーチング」というキーワードでサービスを探してみられるのもよいでしょう。特に「ADHD」を専門にされているとベストです。というのも、他の方からみれば「やる気がない」「怠け癖だ」とみなされるような部分で困っているのがADHDの方々だからです。

どのステップでつまずいているか、つまずきやすいかについての知識や経験が豊富なコーチに出会えるかどうかがポイントです。

ちなみに、専門家向けですが、ADHDの大学生を支援するためのコーチングの本ですが、こういう翻訳書もあります。ご紹介しておきます。

 

「ADHDコーチング―大学生活を成功に導く援助技法」(http://www.amazon.co.jp/dp/4750333255/別ウインドウで開きます

<アピタル:上手に悩むとラクになる・もっと知りたい「大人のADHD」>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/nayamu/(アピタル・中島美鈴)

アピタル・中島美鈴

アピタル・中島美鈴(なかしま・みすず) 臨床心理士

1978年生まれ、福岡在住の臨床心理士。専門は認知行動療法。肥前精神医療センター、東京大学大学院総合文化研究科、福岡大学人文学部、福岡県職員相談室などを経て、現在は九州大学大学院人間環境学府にて成人ADHDの集団認知行動療法の研究に携わる。他に、福岡保護観察所、福岡少年院などで薬物依存や性犯罪者の集団認知行動療法のスーパーヴァイザーを務める。

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