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 訪問看護サービスは、病気を抱えていても安心して自宅で暮らせるように看護師が24時間・365日サポートしてくれる心強い制度といわれています。失敗や後悔しないために、どのようなときに訪問看護サービスを利用するのがよいのでしょうか。(アピタル編集部)

 

 介護保険サービスのメニューの一つに「訪問看護サービス」があることをご存じでしょうか。このサービスは文字どおり、看護師が患者さんの自宅を定期的に訪問し、病気を抱えていても安心して自宅で暮らせるように支えてくれるものです。サービスの内容を具体的に説明すると、介護が必要な人には食事や入浴、排泄(はいせつ)の介助を行い、家族に対しても適切なアドバイスをしてくれます。また、具合が悪くなった人には主治医と緊密に連絡を取りながら病状を観察し、医師の指示のもと必要な医療処置を行い、ときには在宅酸素ボンベや人工呼吸器など医療機器の管理もします。

 在宅医療の現場では病院とそれほど変わらない医療が提供されるようになり、訪問看護師も病院の看護師とほぼ同じような内容の仕事を行っています。しかも医師やほかの医療スタッフがいない患者の自宅で、自分で判断し適切な看護サービスを提供しなければならないので、キャリアを積んだ看護師でなければ十分な対応が難しいともいわれています。こうした実力のある訪問看護師に24時間・365日サポートを受けることは自宅で療養する患者さんや家族にとって心強いものです。

 

■利用者の約半数は医療ニーズが高い人

 介護保険による訪問看護サービスを利用する人は年々増加しており、国のデータでは全国で約35万人の要介護者が利用しています(2014年2月現在)。このうち約半数は要介護3以上の中重度者で、医療処置をはじめ医療機器の管理、ターミナルケアなどを必要とする医療ニーズの高い人たちです。今後こうした患者さんのニーズはさらに高まってくると予測されています。

 その一方で、訪問看護師やケアマネジャーの職能団体の調査では「訪問看護が必要と判断されつつも、利用にまで至っていないケース」も少なくないといいます。この背景には、訪問看護師の数が足りない、ケアプランを作成するケアマネジャーと、主治医や訪問看護師との連携がうまくとれていないなどサービス提供者側の問題があるようですが、一般の人が訪問看護の機能や役割についてまだまだ知らないということも影響しています。どのようなときに訪問看護サービスを利用すると、病気を抱えていたり、介護が必要になったりしても安心して自宅で暮らし続けることができるのでしょうか。

●一般社団法人「全国訪問看護事業協会」訪問看護とは?

http://www.zenhokan.or.jp/nursing/index.html別ウインドウで開きます

 

■高齢者の救急搬送で迷ったときも相談を

 訪問看護サービスを利用する人の約半数は医療ニーズの高い人たちです。具体的にいうと、入退院を繰り返すなど病状が不安定な人、脳卒中の後遺症がある人、がんのターミナルケアを受けている人、在宅酸素ボンベや人工呼吸器など医療機器を装着している人、寝たきりで床ずれのある人などが当てはまります。このような状態や状況になったときは、ケアマネジャーからも提案されると思いますが、ケアプランの中に訪問看護サービスを優先的に入れたいものです。

 また、75歳以上の後期高齢者でしょっちゅう体調を崩して救急搬送される人も訪問看護師のサポートがあると安心です。残念ながら、老衰や心不全などの原因により救急搬送されても病院で高齢者に行われる治療の中で有効なものは限られます。いわゆる「延命治療」が施され、たくさんの機器や管につながれた高齢者の姿を見て、家族があとから救急車を呼んだことを後悔するといった話もよく聞きます。救急車を呼ぶかどうかを迷ったとき、高齢者のふだんの様子を知っている訪問看護師に電話をかけて相談すれば、その人にとって望ましい方法をアドバイスしてくれたり、必要に応じて主治医に連絡し往診を手配してくれたりするので、こうした事態も避けられます。ぜひご活用を。

 

■早期からのサポートで病状の重症化を防ぐ

 さらに要介護度が低いうち(早期)から訪問看護師のサポートを継続的に受けることで、早めに異常に気づいて適切な対応をしてもらえるため病状の重症化を防げるという利点もあります。要介護度が低い人の多くは医療ニーズがそれほど高くないので、介護保険では訪問介護やデイサービスなど生活支援サービスを優先する傾向がありますが、支給限度額に余裕があるときは訪問看護サービスの利用も検討してみましょう。支給限度額に余裕がなくて訪問看護サービスを加えることができない人は看護師の資格を持ったケアマネジャーにケアプランを依頼し、日常的にフォローしてもらう方法もあります。

 また、家族が介護している場合も、訪問看護師に介護にまつわるさまざまな困りごとの相談に乗ってもらえるのでおすすめです。訪問看護サービスを上手に利用して介護者を支えてくれる人を作りましょう。がん患者さんもターミナル期になって利用する人がほとんどですが、早期から訪問看護師にサポートしてもらうことで、がんそのものやがんの治療によるつらい症状にも迅速に対応してもらえますし、治療や療養に伴う精神的な苦しみ、治療選択にかかわる厳しい決断をするときにも支えてもらえることでしょう。

 訪問看護サービスを利用したい場合は最寄りの地域包括支援センター、もしくは担当のケアマネジャーに相談する方法のほか、医療保険で利用できることもあるので、最寄りの訪問看護ステーションに直接問い合わせてみることもおすすめをします。

●一般社団法人「全国訪問看護事業協会」訪問看護ステーション正会員リスト

http://www.zenhokan.or.jp/business_society/member_list/index.html別ウインドウで開きます

次回は「どこに名医がいるのか知りたい」について考えてみます。

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■アピタル編集部より

 「ちーちゃん教えて!」シリーズは、私たちが暮らしの中で感じる医療・健康・介護にかかわる悩みや疑問について、医療ライター渡辺千鶴さんにアドバイスしてもらいます。隔週木曜日に新しい記事を配信していきます。

<アピタル:メディカル玉手箱・ちーちゃん教えて!>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/tamatebako/(アピタル・渡辺千鶴)

アピタル・渡辺千鶴

アピタル・渡辺千鶴(わたなべ・ちづる) 医療ライター

愛媛県生まれ。京都女子大学卒業。医療系出版社を経て、1996年よりフリーランス。共著に『日本全国病院<実力度>ランキング』(宝島社)、『がん―命を託せる名医』(世界文化社刊)などがある。東京大学医療政策人材養成講座1期生。現在、総合女性誌『家庭画報』の医学ページで「がん医療を支える人々」を連載中。