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 病院探しや病気のことを知りたいと思った時、インターネットを使って手軽に医療情報を入手できる時代になりました。ただ、重い病気にかかったとき、どこの専門医や専門病院に診てもらえばいいのか迷うことがあります。自分や家族の病気の治療に合った医師や病院をインターネットの情報から探す方法を教えてください。(アピタル編集部)

 「こんな症状(病気)で困っています。どなたか名医を知りませんか――」

 職業柄、医師を取材することも多く、知り合いから(ときには知り合いの知り合いから)このようなお問い合わせをよくいただきます。インターネットをはじめ医療情報が手軽に入手できる時代になったとはいえ、多くの人が重篤な病気などにかかったとき、専門医や専門病院を探すのに苦労されているようです。

 実は、専門医(名医とはかぎりません)を探すのは、それほど難しいことではありません。厚生労働相に届け出のある団体(学会等)が認定する資格、すなわち専門医については広告してもよいことになっているからです。人の生命や身体にかかわる医業は、不当な広告によるサービスを受けたときの被害が大きいことから、医療法などで医師や病院に関する広告が厳しく規制されてきました。しかし、2000年代に入ると患者が自分の病状に合った適切な医療機関を選択できるよう医療機関が広告できる内容も少しずつ緩和されてきたのです。

 

専門医資格の広告が認められている

 医師や歯科医師の専門資格について広告できるようになったのは2002年4月のことです。2007年4月には看護師や薬剤師などの医療スタッフにも拡大され、厚生労働省によると2011年8月現在、医師が55、歯科医師が5、看護師が27、薬剤師が1の計88の専門資格の広告が認められています。

 これに伴い、各学会ではインターネットのホームページで国から広告を認められた専門医、あるいは専門看護師、専門薬剤師の名簿を公開しています。したがって、ある病気(症状)にかかり、専門医の診療や専門スタッフのサポートを希望する場合は、それぞれの学会のホームページにアクセスして専門医の所在を調べる方法があります。自分の病気を診てくれる診療科や該当する学会がわからないときは病名と並列して「学会」、「専門医名簿」といったキーワードを入力して検索をかけると目的の名簿がヒットする可能性が高いです。

●厚生労働省「医療に関する広告が可能となった医師等の専門性に関する資格名等について」

 http://www.mhlw.go.jp/topics/2007/06/tp0627-1.html別ウインドウで開きます

 

確定診断がついていないときはまず診療所へ

 さらに、学会の専門医名簿から最寄りの医療機関にいる専門医を探す際にもポイントがあります。まず自分の病気(症状)について確定診断がついているのかどうかで受診する医療機関の規模が違ってきます。

 確定診断がついていないのに最初から大きな病院をめざそうとする人は少なくありませんが、このような場合は専門医がいる近くの診療所やクリニックを探し、診察を受けたほうが費用的に断然お得です。というのも2016年4月から特定機能病院(大学病院など)や500床以上の地域医療支援病院(総合病院など)にかかる際、紹介状がないと初診で5000円以上の患者負担金を必ず求められるようになったからです(特定健診やがん検診で異常が発見され、精密検査の指示があった場合はこの対象となりません)。

 また、患者にメリットがあるのは費用だけではありません。近くの診療所やクリニックで診察を受けて重篤な病気が見つかった場合、もしくは確定診断をするのに専門的な検査がさらに必要になった場合、診療所やクリニックから設備が整った適切な病院にすみやかに紹介してもらえるので、名簿を頼りに自分で調べた病院を受診するより安心で、確実な治療やケアが受けられることも期待できます。

 なお、専門医名簿に氏名のみ記載されている場合は、「診療科、氏名、認定資格名、都道府県名」を入力して検索をかけると所属先がヒットする可能性が高いです。

 

その分野のスペシャリストを探す方法とは?

 一方、重篤な病気にかかっていることが判明し、手術や放射線治療、抗がん剤治療など高度な治療が必要な場合は、アクセスが多少不便になっても設備が整った大学病院や総合病院にいる専門医を探すのがよいでしょう。ところが、大都市ではこの条件にあてはまる多くの専門医がいます。その中からより実力のある医師をどう探したらいいのか、自分や家族の生命がかかっているだけに切実な問題で、これは誰もが知りたいことです。

 このとき、一つの参考になるのが各学会のホームページに掲載されている評議員名簿です。ここに名前を連ねる医師たちは専門医の中でも学会の指導的立場にいる人で、その分野のスペシャリストとみなしてよいでしょう。ただ、評議員名簿は氏名のみの記載がほとんどのため、専門医名簿と照らし合わせるか、先に紹介したキーワードで検索して所属先を調べる手間がかかります。また、ちまたではいわゆる"名医"として知られている医師も少なくないので、患者さんが多くてすぐに診察してもらえないことや紹介状を求められることもあります。紹介状なしで受診する場合はもちろん患者負担金が必要です。

 こうして自分で苦労して探してきた大病院の専門医の診察を確実に、そして安価に受けるためにはやはり医師に紹介状を書いてもらうことが欠かせないので、「ふだんから何でも相談に乗ってもらえる"かかりつけ医"を持っておくことがベスト」ということになります。

 

 次回は「子どもが病気になったときに知っておきたい経済的サポート」について考えてみます。

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アピタル編集部より

 「ちーちゃん教えて!」シリーズは、私たちが暮らしの中で感じる医療・健康・介護にかかわる悩みや疑問について、医療ライター渡辺千鶴さんにアドバイスしてもらいます。隔週木曜日に新しい記事を配信していきます。

<アピタル:メディカル玉手箱・ちーちゃん教えて!>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/tamatebako/(アピタル・渡辺千鶴)

アピタル・渡辺千鶴

アピタル・渡辺千鶴(わたなべ・ちづる) 医療ライター

愛媛県生まれ。京都女子大学卒業。医療系出版社を経て、1996年よりフリーランス。共著に『日本全国病院<実力度>ランキング』(宝島社)、『がん―命を託せる名医』(世界文化社刊)などがある。東京大学医療政策人材養成講座1期生。現在、総合女性誌『家庭画報』の医学ページで「がん医療を支える人々」を連載中。