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 小さな子どものいる家庭では、昼夜を問わず、病院や診療所に駆け込むことがよくあります。自治体による医療費助成制度はありますが、対象外の交通費などもばかになりません。さらに子どもが重い病気にかかったとき、多くの家庭では二重生活を強いられるため、経済的にも大きな打撃をこうむります。家族の負担を少しでも軽減する方法はないのでしょうか。(アピタル編集部)

 教育費をはじめ、子育てにはいろいろとお金がかかります。小さなお子さんがいる家庭では医療にかかる出費もばかにはなりません。大人に比べて感染症などの病気にかかりやすい子どもには医療費の自己負担分(義務教育就学前:2割、義務教育就学後:3割)を助成する「乳幼児等医療費助成制度」があります。これは自治体による事業にあたるため、住んでいる市区町村によって助成制度の内容(対象年齢、助成の範囲)や条件は大きく異なります。

 厚生労働省の調査によると、2014年4月1日現在、「就学前まで」を医療費助成の対象年齢としている都道府県が最も多く、「通院」で25県、「入院」で22県でした。また、自己負担の「全額」を助成しているのは8県、「一部」が39県でした。「所得制限」を設けている都道府県も30県あります。

 つまり、多くの場合、子どもの医療費助成制度があってもそれなりに医療費がかかるということです。ましてや子どもは夜中に急に具合が悪くなり、タクシーを飛ばして救急病院を受診することもあり、医療費以外の出費もかさみます。子育て中に引っ越しをするときは、子どもの医療費助成制度の内容を確認したうえで充実した市区町村を選択するのがよいといわれますが、それだけで居住地を選べないのが難しいところです。

 

■「小児慢性特定疾病の医療費助成」で自己負担を軽減する

 こうした状況の中、子どもが重い病気にかかってしまったら医療費の負担はさらに増えます。小児がんをはじめ、心臓病、腎臓病、糖尿病、膠原病、気管支喘息など治療期間が長く、医療費の負担が高額となる病気については「小児慢性特定疾病の医療費助成」制度によって治療費の自己負担分を軽減できます。現在、この制度の対象として国から認められているのは704疾病で、保護者の所得と子どもの病気の重症度によって自己負担上限額が設定されています。

●小児慢性特定疾病情報センター「小児慢性特定疾病の医療費助成について」

http://www.shouman.jp/assist/#new別ウインドウで開きます

●小児慢性特定疾病情報センター「小児慢性特定疾病の対象疾病について」

http://www.shouman.jp/disease/別ウインドウで開きます

●小児慢性特定疾病情報センター「小児慢性特定疾病の医療費助成に係る自己負担上限額」

http://www.shouman.jp/assist/expenses別ウインドウで開きます

 

■ファミリーハウスに滞在し、二重生活の出費を抑える

 「小児慢性特定疾病の医療費助成」制度を利用すると、重い病気の子どもを抱える親たちは治療費そのものについてはそれほど心配しなくてもすみますが、治療費以外にもさまざまな費用がかかり、家計を圧迫します。なかでも多額の出費を強いられるのが「通院交通費」や「宿泊費」です。子どもの重い病気はとくに治療できる医療機関が限られているため、大半の人が自宅から遠く離れた医療機関に通うことになります。通院できないほど遠い場合はホテル住まいになったり病院の近くにアパートを借りたりしなければならないことも。こうした二重生活による経済的な負担が家族の肩にさらに重くのしかかってきます。

 これらの出費を抑えるために、1泊1000円程度で宿泊できる「ファミリーハウス」を利用する方法があります。ファミリーハウスは全国で約100施設が運営されています。小さな規模のファミリーハウスが多いため、空き部屋がないこともあるようですが、最初からあきらめないで問い合わせてみましょう。ファミリーハウス運営者のネットワーク組織である「日本ホスピタル・ホスピタリティ・ハウス・ネットワーク(JHHHネットワーク)」のホームページでは、各地にあるファミリーハウスの所在地を検索することができます。

●JHHHネットワーク「ハウスを探す」

http://www.jhhh.jp/Prefecture/index.html別ウインドウで開きます

 

■入院治療が長引くときは「特別児童扶養手当」の検討を

 こうした二重生活の中、病気の子どもに付きっきりの看病が必要になるため、働くお母さんたちは仕事を辞めなければならない状況に追い込まれ、一家の収入は激減します。このような場合に多くの家族が利用しているのが「特別児童扶養手当」です。

 これは障害のある20歳未満の子どもを養育している人に対する手当で、1級では月額51500円、2級では月額34300円が支給されます。所得制限がありますが、内科的疾患や慢性疾患でも病状や病気・治療の合併症や後遺症によって日常生活に支障をきたしているときは認定されることがあります。かかっている病院の医療ソーシャルワーカーもしくは市区町村の担当窓口に相談してみましょう。

 重い病気の子どもが利用できる福祉制度は、その病気の患者団体や患者支援団体に問い合せると、いろいろ教えてもらえることもあります。公益財団法人「がんの子どもを守る会」では療養生活にかかわる相談を受け付けるほか、独自で療養費援助も行っています。

●公益財団法人がんの子どもを守る会「病気や療養生活の相談」

http://www.ccaj-found.or.jp/cancer_info/consult/別ウインドウで開きます

●認定NPO法人難病のこども支援全国ネットワーク「ネットワーク電話相談」

http://www.nanbyonet.or.jp/denwa/別ウインドウで開きます

 

■支援団体のキャンプや旅行で、治療へのエネルギーをチャージ

 医療費や療養費に多額の費用がかかり経済的な余裕がなくなってくると、家族旅行などに回せる費用はなくなってきます。また、経管栄養や在宅酸素療法などの医療的ケアを必要とするお子さんは気軽に出かけることが難しい面もあります。しかし、療養生活を長続きさせるためにも病気の子どもとその家族にはひとときの休養や気晴らしは大切です。このような場合に利用してみたいのが、さまざまな支援団体が行っているキャンプや旅行です。

 こうしたキャンプや旅行には安価な費用で参加できるうえに、ボランティアで医師や看護師がサポートしていることも多く、医療的ケアを必要とするお子さんや家族も安心です。支援団体の中には交通費、宿泊費など一切の費用を負担してくれるところもあります。また、ほとんどの支援団体ではキャンプや旅行の期間中に参加した家族同士が交流できる場を設けており、そうした場が家族に有益な情報をもたらし、ふたたび子どもの病気と向き合う勇気と希望を与えています。

 重い病気の子どもとその家族への支援は十分とはいえませんが、さまざまな団体がいろいろな支援活動を展開しています。経済的な問題をはじめ、家族が「困っていること」を解決するために積極的に利用していきましょう。

●認定NPO法人難病のこども支援全国ネットワーク「キャンプ&イベント」

http://www.nanbyonet.or.jp/camp_event/別ウインドウで開きます

●公益財団法人 そらぷちキッズキャンプ「キャンプの紹介」

http://www.solaputi.jp/camp/index.html別ウインドウで開きます

●公益社団法人 難病の子どもとその家族に夢を「活動内容」

http://www.yumewo.org/activity/index.html別ウインドウで開きます

●NPO法人 ジャパンハート「すまいるスマイルプロジェクト」

http://www.japanheart.org/smile/別ウインドウで開きます

●小児がん患者会ネットワーク「治療・支援情報」

http://ssj-gan.net/tiryou.html別ウインドウで開きます

 

 次回は「多すぎる薬、どう整理する?」について考えてみます。

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■アピタル編集部より

 「ちーちゃん教えて!」シリーズは、私たちが暮らしの中で感じる医療・健康・介護にかかわる悩みや疑問について、医療ライター渡辺千鶴さんにアドバイスしてもらいます。隔週木曜日に新しい記事を配信していきます。

<アピタル:メディカル玉手箱・ちーちゃん教えて!>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/tamatebako/(アピタル・渡辺千鶴)

アピタル・渡辺千鶴

アピタル・渡辺千鶴(わたなべ・ちづる) 医療ライター

愛媛県生まれ。京都女子大学卒業。医療系出版社を経て、1996年よりフリーランス。共著に『日本全国病院<実力度>ランキング』(宝島社)、『がん―命を託せる名医』(世界文化社刊)などがある。東京大学医療政策人材養成講座1期生。現在、総合女性誌『家庭画報』の医学ページで「がん医療を支える人々」を連載中。