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 精神疾患を抱える人は全国で約320万人。精神科を受診する人は珍しくないが、いまだ偏見も存在する。児童精神科医の夏苅郁子さんは、母親が統合失調症を患い、自らもうつや摂食障害で苦しんだ。精神科医療に求められるものは、何か。患者の家族、患者、そして医師という三つの立場を経験し、見えてきたものがある。

――4年前に出版された本で、お母さんが統合失調症だったことを公にしました。

 「母がおかしいと気づき出したのは、私が10歳の頃でした。夜眠らず、ささいなことで急に怒り出し、『お前なんか死んでしまえ』などと言う。掃除もせず、独り言をぶつぶつ言うようになりました。部屋のカーテンや雨戸は閉まったままで、室内にはネズミがはい回っていました。そんな母には嫌悪感しかありませんでした」

「会社員だった父はその前から外に愛人がいて、家にはほとんど帰らず、お金もあまり入れなかった。母の症状はさらに悪化し、2度入院した後に離婚しました」

「私自身は大学の医学部に進んでから摂食障害や重度のうつになって2回自殺未遂を起こしました。精神科に7年通いました。こうしたことも本に記しました」

――勇気のいることです。きっかけは何だったんでしょう。

 「『わが家の母はビョーキです』という漫画です。中村ユキさんが統合失調症の母親との日々を描いた作品で、何十年も私が隠してきた思いが表現されていた。ただただ泣きました。精神科医の立場で、自分の経験を発信しようと決心しました」

 「本を出して当事者から『あなたは大学を出て医者になっている。いいじゃないか』などと批判されました。確かに私は恵まれている。ならば、医師であることを最大限に生かそうと思いました」

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