[PR]

 病院で診断を受けると、患者や家族は、スマートフォンやパソコンを使って治療や療養生活などの情報を一生懸命探します。インターネットによって誰でも情報発信できる時代だからこそ、どのような情報を参考にすればいいのか、気をつけないといけない時代でもあります。インターネットで情報を集めるとき、どのような点に注意すればよいのでしょうか。(アピタル編集部)

 

 2013年、国立がん研究センター中央病院は、がんになったことがない20~60代の男女を対象に「がんに関する情報収集」についてのインターネット調査を行いました。568人から有効回答を得ました。この調査で「がんになったとき、最初に利用する情報媒体は何ですか」という質問をしたところ、「インターネット」と答えた人は全体の89.1%を占め、「本」(6.5%)や「雑誌」(1.4%)、「テレビ」(1.2%)、「ラジオ」(0.4%)など大きく上回りました。今や一般の人がインターネットで医療情報を集めることは当たり前のことになりつつあります。

 一方、医療の専門家は「インターネット上の医療情報は玉石混合で信頼性の低い情報も多い」としばしば注意を促しています。ただし、一般の人には正しい情報かどうかを判断する術がありません。前出の調査によると「インターネット」に対する信頼度は「医師・看護師」、「本」といった情報源に次ぐ高さで、「テレビ」や「ラジオ」よりも信頼を得ていました。こうした結果から調査を実施した国立がん研究センター中央病院は「医療者からの情報が不十分な場合、患者はインターネットに頼る可能性が高い」と指摘しています。

 

■正しい情報を得るには公的機関が提供する情報を

 インターネット上の医療情報を利用する際、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。正しい情報を入手するには、公的機関が提供する情報を利用するのがよいといわれています。医学情報であれば各学会のホームページが参考になるでしょう。近年は「一般の皆さまへ」といったバナーを設け、病気の説明や患者向け診療ガイドライン、専門医リストなどをまとめて掲載する学会も増えてきました。学会は細分化されているので、ホームページで検索するときは診療科名ではなく、「病名」の後に「学会」と入力して検索をかけると、適切な学会のホームページにたどりつけます。

 「病名」の後に「協会」と入力して検索をかけると、その疾患に関する知識の普及や啓発活動を目的に設立された公的機関のホームページを探すことができます。たとえば、日本対がん協会、日本アレルギー協会、日本脳卒中協会などがあります。こうした公的機関が提供する患者向け情報も参考になります。

 また、厚生労働省などの支援を受けて運営されているサイトもあります。たとえば、がんでは国立がん研究センターがん対策情報センターが運営する「がん情報サービス」がありますし、難病では難病医学研究財団が運営する「難病情報センター」などがそうです。これらのサイトでは、疾患の解説だけでなく、さまざまな支援制度の概要や相談窓口などの患者の療養生活を支える医療情報も提供されているのが大きな特徴です。

 一方、医学や医療は日進月歩で変化しており、それらに関する情報も日々新しくなっています。公的機関が提供する医療情報も必要に応じて更新されていますが、それが最新の情報であるとはかぎりません。サイトに掲載された日付を確認し、情報が古い場合は、主治医や看護師、薬剤師、医療ソーシャルワーカーなど医療スタッフに遠慮なく尋ね、最新の情報を教えてもらいましょう。さらに、治療情報は科学的根拠にもとづいていたとしても、すべての人にあてはまるわけではないことも心得ておきましょう。入手した情報をもとに主治医とよく話し合い、自分がその治療法を利用できるのかどうかを確かめることが大切です。

 

■自分で探すのが難しいときは図書館司書に相談

 インターネットで正しい情報を自分で探すのが難しいときは、図書館司書にサポートしてもらうことをおすすめします。近年、図書館サービスを充実させるために健康・医療情報や闘病記の特設コーナーを設置する公共図書館が増えています。ぜひ一度、最寄りの公共図書館を訪れて確認してみるのもよいでしょう。インターネットで「健康・医療情報コーナー」「図書館」と入力して検索すると、このようなコーナーが設置されている図書館を探すこともできます。司書に医療情報を調べるサポートをしてほしいときは「レファレンスカウンター」に出向いて相談します。なかには健康・医療情報を探すときの手引きを作成している公共図書館もあります。

 また、医療機関の中には院内に患者図書館を設置し、医学関連図書も置いてあるところもあります。なかでも「がん診療連携拠点病院」が運営する患者図書館は蔵書や資料を充実させているだけでなく、医療情報を探すときに手助けしてくれる司書や看護師を配置し始めています。司書や看護師がいる患者図書館を知りたいときは、近くの「がん相談支援センター」に問い合せると教えてくれることがあります。インターネットなどで入手したがんの医療情報の信頼性を確かめたいときも、相談員からアドバイスをもらえることがあるので利用してみましょう。

●国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス/相談支援センターを探す」

http://hospdb.ganjoho.jp/kyotendb.nsf/xpConsultantSearchTop.xsp別ウインドウで開きます

 

次回は「医療機関の対応に納得できないとき、どうすればいいか」について考えてみます。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

■お知らせ

 メディカル玉手箱の「認知症にまつわる悩み」シリーズ(http://t.asahi.com/izej別ウインドウで開きます)が本になりました。

・「発症から看取りまで 認知症ケアがわかる本」

・渡辺千鶴著 杉山孝博監修(川崎幸クリニック院長)

・洋泉社

・1700円(税別)

(詳しくはアマゾン http://goo.gl/wex9J3)別ウインドウで開きます別ウインドウで開きます

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

■アピタル編集部より

 「ちーちゃん教えて!」シリーズは、私たちが暮らしの中で感じる医療・健康・介護にかかわる悩みや疑問について、医療ライター渡辺千鶴さんにアドバイスしてもらいます。隔週木曜日に新しい記事を配信していきます。

 

<アピタル:メディカル玉手箱・ちーちゃん教えて!>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/tamatebako/(アピタル・渡辺千鶴)

アピタル・渡辺千鶴

アピタル・渡辺千鶴(わたなべ・ちづる) 医療ライター

愛媛県生まれ。京都女子大学卒業。医療系出版社を経て、1996年よりフリーランス。共著に『日本全国病院<実力度>ランキング』(宝島社)、『がん―命を託せる名医』(世界文化社刊)などがある。東京大学医療政策人材養成講座1期生。現在、総合女性誌『家庭画報』の医学ページで「がん医療を支える人々」を連載中。