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 嫌な出来事があったとき、それが頭から離れないという経験はありませんか。怒りや不快な感情が持続する時間は人それぞれです。一時的にカッとなっても、3歩も歩けば何事もなかったようにケロッとしている人もいますし、朝の出来事を半日後や1日後でも引きずっている人もいます。数日、数週間経っても何度も思い出してしまう人もいるでしょう。

 仕事中にイライラしたままでは、目の前の作業に集中できず、仕事の効率が下がります。職場でのコミュニケーションにも悪影響を及ぼします。医療や介護の現場では、思わぬミスや事故につながる危険性があります。嫌な出来事や感情を引きずって過ごすより、上手に気持ちを切り替えられる方が安全で効率的に仕事を進めることにつながります。

 イライラを引きずってしまう人には、感情をリセットするためのスイッチを準備しておくことをお勧めします。自分にとって心地良いこと、楽しいこと、好きなことなどを考えてみてください。それをイライラしたときのために準備しておくのです。安定した感情を保つためのリフレッシュと考えても良いでしょう。

 時間が許せば、旅行に出かける、お友達と外食するといった思い切り楽しむような計画も良いと思います。でも、仕事も大変で仕事が終われば家事や育児や介護に追われる生活で、優雅に出掛けてなどいられないという人もいるでしょう。休憩時間にお気に入りの音楽を1曲聴くとか、チョコレートを1粒食べるとか、日常の中のちょっとしたことで良いのです。

 私は、仕事の時にコーヒーをいれるのが習慣になっています。ある時、これを私の感情をリセットするスイッチにしようと思ったら、いつもの安いコーヒーが薫り高く、美味しく感じられて、幸せなひと時に変わりました。

 

 怒りや不快な感情を引きずる人は、仕事とプライベートを切り替えることも重要です。

 家庭で生じたイライラを抱えたまま出勤したら、一緒に働くスタッフは何に苛立っているのか分からず、困惑します。何より、家庭での出来事に起因するイライラを患者や利用者にぶつけるようなことがあってはなりません。

 また反対に、仕事で嫌な出来事があって、仕事が終わったあとももんもんとしたまま家に帰ると、家事がはかどらなかったり、家族に八つ当たりしてしまったりすることがあります。働くお母さんの中には、つい子どもに当たってしまい、後から後悔するという人もいるのではないでしょうか。

 家庭のイライラを職場に持ち込まないこと、仕事で生じたイライラを家庭に持ち帰らないことを意識しておく必要があります。職場と家庭、仕事とプライベートで場面に応じて感情も切り替えるように練習しましょう。

 出勤してユニフォームを着替える、名札をつける、髪を結ぶなど、仕事のスタイルになる時に、あるいは私服に戻る時に、仕事のオンとオフで気持ちも切り替えるように意識するのです。

 

 通勤途中に日常の中に四季を感じることも、私にとっては感情をリセットするスイッチとして機能しています。

▼参照「怒りを生じにくくするためのコツ」

 http://www.asahi.com/articles/SDI201701066390.html

 

 夜になっても昼間の出来事が頭を巡ってしまう人や翌朝になっても切り替えられない人は、その日の嫌な感情を持ち越さないために、気持ち良く眠りにつくことも大切です。就寝前にストレッチをしたり、温かいドリンクを飲んだり、呼吸を整えたり、リラックスできる方法を取り入れてみましょう。寝る時に「今日も一日無事に過ごせた」「大変だったけどよく頑張った私」と自分で自分を労ってみるのも良いと思います。

 

 気持ちを切り替えるために、楽しいイベントを作るほか、毎日の生活に取り入れられることや、いざという時にすぐできることなど、いろいろ準備しておきましょう。

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編集部から

 田辺有理子さんの本が8月31日に出版されました。タイトルは「イライラとうまく付き合う介護職になる!アンガーマネジメントのすすめ」(中央法規出版、2160円)です。(詳しくはアマゾン:http://goo.gl/52wVqv別ウインドウで開きます

 

<アピタル:医療・介護のためのアンガーマネジメント・コラム>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/anger/(アピタル・田辺有理子)

アピタル・田辺有理子

アピタル・田辺有理子(たなべ・ゆりこ) 看護師・保健師・精神保健福祉士

横浜市立大学医学部看護学科講師。大学病院勤務を経て2006年から看護基礎教育に携わる。アンガーマネジメントファシリテーターTMとして、医療・介護・福祉のイライラに対処するためのヒントを紹介する。著書に『イライラとうまく付き合う介護職になる!アンガーマネジメントのすすめ』(中央法規出版)がある。