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 皆さん、運動は好きですか?正直に言うと、私自身は運動があまり好きではありません。

 一方で、運動をすることは、健康の維持・増進に役立ち、疾病の予防や死亡リスクの低下につながることは周知の事実です。私も医師の端くれとして、そのことは十分に理解しています。ですが、「分かっていても行動できない」「はじめてみたものの三日坊主で終わってしまった」という繰り返しを、私に限らず多くの人が経験していると思います。

 日々の習慣を変えることは、本当に難しいです。ただ、運動に関して言えば、「毎日は無理でも、週末だけだったら何かできるかも」と思う人は、いるかもしれません。でも、そもそも週末だけ運動することにどれほどの効果があるのでしょうか?

 その疑問に対して答えを示してくれる研究結果が報告されましたので紹介したいと思います。

 

■Association of "Weekend Warrior" and Other Leisure Time Physical Activity Patterns With Risks for All-Cause, Cardiovascular Disease, and Cancer Mortality[JAMA Intern Med. 2017年1月9日電子版]

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28097313別ウインドウで開きます

 この研究では、イングランドとスコットランドで実施された健康調査のデータを解析しています。健康調査の回答者は、6万3591人(男性45.9%、平均年齢58.6歳)です。観察期間中に8802人が死亡し、そのうち心血管疾患による死亡が2780人、がんによる死亡が2526人でした。

さらに、運動パターンについて、自己申告による運動の「強度」と「頻度」で次のようにグループ分けしています。

 

・「運動なし」(3万9947人):中等度~強度の運動をおこなっていない

・「運動不十分」(1万4224人):中等度の運動が週150分未満かつ強度の運動が週75分未満

・「週末のみ運動」(2341人):週1~2回の運動、中等度の運動が週150分以上または強度の運動が週75分以上

・「日常的に運動」(7079人):週3回以上の運動、中等度の運動が週150分以上または強度の運動が週75分以上

 初めて知ったのですが、週末や休日だけ運動する人を「Weekend Warrior(週末戦士)」と呼ぶそうです。また、「運動なし」「運動不十分」という人達が以外に多いという実態も、個人的には驚きでした。

 少し話がそれてしまいましたが、この研究のポイントは、この運動パターンによって、死亡率に違いがあるかどうかです。解析結果は次のようになります。

写真・図版

 

 なんと、「運動なし」群と比較して、「週末のみ運動」群は、全ての死因による死亡(全死亡)のリスクが30%(ハザード比:0.70)、心血管疾患による死亡(心血管疾患死)のリスクが40%(ハザード比:0.60)減少しています。なお、がんによる死亡(がん死)のリスクも約20%(ハザード比:0.82)減少していますが、95%信頼区間が「1」をまたいでおり、偶然の可能性がありますのでデータの解釈には注意が必要です。

 ちなみに、運動に関するガイドラインでは、「毎日」運動することが推奨されている場合が多いのですが、今回の結果を踏まえると、死亡リスク減少を目的にしたときは「週に1~2回」の運動でも十分な可能性があります。

 論文の著者らも、「週1~2回の運動を行う『週末戦士』という運動パターンは、一般的な身体活動ガイドラインの遵守に関係なく、全死亡、心血管疾患死、がん死のリスクを軽減するのに十分な可能性がある」と述べています。

 みなさんがお住まいの地域でも、徐々に春が近づいてきていると思います。せめて週末だけでも、体を動かしてみてはいかがでしょうか。

 

<アピタル:これって効きますか?・その他>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/kiku/(アピタル・大野智)

アピタル・大野智

アピタル・大野智(おおの・さとし) 大阪大学大学院准教授

大阪大学大学院医学系研究科統合医療学寄附講座 准教授/早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構 客員准教授。1971年浜松市生まれ。98年島根医科大学(現・島根大医学部)卒。主な研究テーマは腫瘍免疫学、がん免疫療法。補完代替医療や健康食品にも詳しく、厚労省『「統合医療」情報発信サイト』の作成に取り組む。