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 朝日新聞デジタルのアンケート「たばこの煙」には、2130の回答がありました。多くの方が受動喫煙防止のための規制強化を求めています。一方で、たばこ自体は法律で禁じられているわけでもないのに、という声もあります。まず、集まった声の一部とともに、受動喫煙防止をめぐる最近の動きについて紹介します。

■分煙でも「吸う人」目線 販売していて規制とは

 アンケートに寄せられた声から、たばこを「吸ったことはない」「吸っていたが、今は吸っていない」「ヘビースモーカー」「吸うがそれほどという認識はない」という答えごとに、意見の一部を紹介します。

 

 【吸ったことはない】 

 ●「医師です。たばこの話になると“臭いが嫌”という『好き嫌い』や、“ポイ捨てはダメ”という『マナー』の問題にすり替えられて、議論されることが多いように思います。アスベストは発がん性があるから規制されました。それと同じことなのです。好き・嫌いの感情論にしないように、と思います」(東京都・40代女性)

 ●「私は受動喫煙、三次喫煙で体調を崩し寝込んでしまいます。故に完全禁煙で出入りに灰皿がないお店しか入れません。会社の送別会や懇親会、同窓会も禁煙のお店で開催されることはありません。地域柄お店が皆無だからです。喫煙者ではなく非喫煙者が社会から排除されない仕組みを望んでいます」(奈良県・30代女性)

 ●「夫がたばこを吸います。子どもが生まれる前に禁煙したのですが、3年ほど経ってから再度吸い始めました。仕事上の付き合いで飲みに行ったときに、つい1本吸ってみたことがきっかけだったようです。もしも室内禁煙だったら禁煙したままだったかと思うと、ぜひ室内禁煙の法案を通していただきたいと思っています」(滋賀県・40代女性)

 ●「一番弱者は誰か、と考えた時、訳も分からず隣に居る子供たちであり、そう考えれば、厳しい規制はやむ無し、と思います。でもどんなに狭いスペースでもよいので喫煙者に吸える場所は残してやって欲しいと思います」(鹿児島県・40代男性)

 ●「妊娠中、仕事の都合で飲み会に参加しなければならず受動喫煙を受けてしまいました。お酒は自分で飲まなければいいが、煙は逃げられません。胎児に有害物質を吸収させてしまうことが申し訳なくて涙が出ました。こうした場で喫煙する人たちに『マナー』や『配慮』があったためしがありません。法律で規制するべきです」(北海道・20代女性)

 ●「店が分煙されていても、喫煙エリアを通らなければレジに行けなかったり、ドアもないパーテーションで区切っただけのものであったりして、『吸う人』目線だなと思うことがある」(千葉県・20代女性)

 ●「吸う人が吸わない人への思いやり、たばこが嫌いな人のたばこが好きな人への思いやりがあれば何の問題もない」(東京都・10代男性)

 

 【今は吸っていない】

 ●「自身がヘビースモーカーでしたが、喫煙者は自分がまとっているひどい臭いにも気付かないものです。まして、周囲に害なすものをまき散らしている認識など……。依存癖に陥ってしまっている喫煙者の自覚に期待する対応では受動喫煙をなくすことはできないと思います」(京都府・50代男性)

 ●「飲食店のオーナーです。以前は喫煙可の店でしたが、毎日頭痛やのどの痛みを覚え完全禁煙にしたのが10年前ほどです。売り上げの心配をしましたが、むしろ禁煙店にしたことで売り上げは伸びました。お客様から禁煙にしてくれてありがとうと言われることが多かったです。従業員の健康を考えても禁煙店にしてよかったです」(東京都・30代男性)

 ●「喫煙所などで吸うのはOK。においがつくのは仕方ないと思います。しかし、歩きたばこなどマナーの悪い人にはイライラします。逆に、喫煙可のお店で吸っているのに、子連れで来て嫌な顔をするのはいかがなものかと思います」(神奈川県・40代女性)

 

 【ヘビースモーカー】

 ●「自分の楽しみを非喫煙者に邪魔されるのは、正直、腹が立ちます。場所を考えて吸ってる人も多いはずです。私の中では、非喫煙者はモンスタークレーマーです。だから常に気を付けてます。非喫煙者に見つからないように」(愛知県・40代女性)

 ●「分煙は必要と思うが、あまりにも規制されるのは、いかがなものか。健康というならば、販売をやめさせて、日本国内禁煙にするならば納得できる」(千葉県・60代男性)

 ●「禁煙が引き金となって精神科に通う羽目になった身としては、現在は禁煙するのが怖い。『みんな直ちにたばこをやめろ』などというのも怖い。しかし、喫煙可能な場所の場合でも、においの問題もさりながら従業員や清掃員の健康への悪影響、三次喫煙の問題、不快感についても気になっている(喫煙者でも吸い殻や吸い殻入れのにおいに不快感を感じる者は多い。まして非喫煙者にとっては)。また禁煙中の人にとってはたばこのにおいが苦痛(強烈な誘引)になることも気になっている」(東京都・50代男性)

 

 【吸うがそれほどではない】

 ●「自分の煙さえ嫌になります。知らない人の吐き出した煙も来るので風のある日は喫煙所の中の場所も考えます。また滞留している部屋の中のたばこのにおいが嫌いです。すぐに服につくところも嫌いです。妊娠出産を機にやめたんですが、復活。4年間禁煙しても無理でした」(愛知県・30代女性)

 

 ■厚労省の防止策強化案、調整難航 「喫煙も権利」と自民議連、分煙推進の対案

 2020年の東京オリンピック・パラリンピックを前に、厚生労働省は他人のたばこの煙を吸わされる「受動喫煙」を防ぐ対策を罰則付きで強化する健康増進法改正案を今国会へ提出することを目指しています。しかし、自民党内での調整が難航し、先の見えない状況が続いています。

 厚労省が3月1日に発表した改正案の骨子では、飲食店のうち、主に食事を出すレストランや居酒屋などは「屋内禁煙」とし、喫煙専用室の設置は認めます。一方、主に酒を出すバーやスナックに限り、床面積30平方メートル以下は例外として「受動喫煙が生じうる」との掲示や、換気を条件に喫煙を認める、という内容です。

 子どもが利用する小中高校や、患者のいる医療施設は最も厳しい「敷地内禁煙」の扱いです。官公庁や老人福祉施設、大学、体育館は「屋内禁煙」、バスやタクシー、飛行機は「車内禁煙」とし、いずれも喫煙専用室の設置を認めません。

 厚労省案に対し、自民党の「たばこ議員連盟」は対案を発表しています。飲食店については禁煙・分煙・喫煙から店側が自由に選びますが、それぞれの表示は義務化します。このほか、小中高校や大学、体育館、医療施設でも喫煙専用室の設置を認めます。バスやタクシーも、貸し切りの場合は喫煙などの表示を義務化します。

 たばこへの基本的な考え方が、厚労省案とたばこ議連案は異なります。

 議連案は基本理念として、「受動喫煙を受けたくないこと」だけでなく「喫煙を愉(たの)しむこと」も国民の権利だとして、分煙推進を掲げています。

 厚労省案は、受動喫煙で毎年推計1万5千人が亡くなり、国民の8割が非喫煙者だとして、「非喫煙者や子ども、がん・ぜんそくの患者らの健康が、喫煙の自由より後回しにされてはならない」との立場です。

 

 ◇アンケート「受動喫煙」をhttp://t.asahi.com/forum別ウインドウで開きますで実施中です。ご意見はasahi_forum@asahi.comメールするか、ファクス03・5541・8259でも募集しています。

 

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