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 新年度が始まり、進級や進学したお子さんも多いと思います。子どもが、朝なかなか起きられなかったり、朝ご飯を食べられなかったりして、学校に行けない。でも、午後には元気になって、夜遅くまで起きている。そんな様子を「怠けている」「夜更かししているからだ」と決めつけるのはちょっと待ってください。もしかしたら自律神経の乱れによる病気かもしれません。思春期の子どもにこの時期によくみられるこうした症状に詳しい西部総合病院(さいたま市)の数間紀夫・小児科部長に、原因や治療法について聞きました。

 

▼思春期の子どもが、朝起きられないのは、自律神経の乱れが原因かもしれない

▼「怠け」や「夜更かし」と決めつけず、小児科医に相談を

▼思春期を過ぎれば、症状は改善することが多い

▼できる範囲で規則正しい生活を心がけましょう

 

■小学校高学年から高校生にみられる起立性調節障害

 「朝起きられない、体がだるいといった症状で受診する子どもは一年の中でも、新学期が始まった4月から6月ごろに多いです。そうした症状の中には起立性調節障害(OD)という病気が原因のことがあります」と数間さんは言います。

 この病気は、自律神経のバランスが崩れることが原因です。人は立つと、重力で血液が下半身にたまり、血圧が下がります。健康な人なら、自律神経が働き血管が収縮することで血圧を保っています。しかし、自律神経が乱れていると、血圧の調節がうまくできずに血圧が低下、脳や全身への血流が弱くなります。その結果、立ちくらみや胸がどきどきするといった症状が出ます。

 数間さんは「子どもから大人へ体や心が変化し、心身のバランスが乱れやすい思春期の子ども特有の病気です」と言います。小学校高学年から高校生ぐらいの年齢に多いそうです。感受性の強い思春期の子どもはストレスに敏感になりがちです。学校でのいじめ、家庭の問題、受験、進学のほか、最近は部活動の顧問とのあつれき、友人関係なども影響することがあるそうです。

 

■午前中に症状が悪化、春に多い病気

 ODの子どもには、立ちくらみやめまいのほか、立っていると気分が悪くなり、ひどいときには倒れてしまうこともあります。顔色がさえず、食欲もなく、頭痛や体のだるさといった症状もあります。脳への血流が下がるので、思考力や判断力も低下し、いらいらすることも。

 1年の中でも季節の変わり目、特に春に多いのは、暖かくなり血管が開いて血圧調節がうまくできなくなるからだと考えられています。他にも進学や進級で環境が変わったことによる精神的なストレスも関係します。

 数間さんによると、小学生の5%、中学生の10%程度に病気があるといいます。該当するような症状がある場合は、小児科医にまず相談してみてください。血圧を上げることが主な治療になります。朝の日光を浴びるようにしたり、軽い散歩や家の中で家事をするなど体を動かしたりして、規則正しい生活を送ることを目指します。水や塩分をいつもより多めにとるのもいいそうです。血圧を上げる薬を使う薬物治療もあります。

 

■「怠け」「夜更かし」のせいでないかも

 朝起きられず、横になってごろごろしているのに、午後になると元気になって体調が回復し、夜遅くまでテレビやゲームで楽しそうにしていることもあります。そんな様子を見た家族は「学校にも行かず、怠けているんじゃないの」とか「夜更かししているから起きられないんだ」なんて、叱りたくなるかもしれません。一般的には、思春期を過ぎれば、症状は改善すると言われています。数間さんは「自律神経の乱れによる病気だと周囲の人が理解して、焦らず、本人のペースに合わせながら見守ってください」と言います。

 治療を受け、血圧がコントロールできるようになっても、腹痛や頭痛などの症状が続くこともあります。こうした場合には、潰瘍(かいよう)性大腸炎などの過敏性腸疾患や脳腫瘍(しゅよう)など別の病気が隠れていることもあります。小児科医に相談してください。

 

<アピタル:ニュース・フォーカス・オリジナル>

http://www.asahi.com/apital/medicalnews/focus/(北林晃治)

北林晃治

北林晃治(きたばやし・こうじ) 朝日新聞記者

2002年朝日新聞社入社、北海道報道部、さいたま総局をへて、東京本社生活部、科学医療部。厚生労働省など社会保障、医療分野を取材。東日本大震災後、社会部をへて再び科学医療部へ。2016年9月からアピタル編集部員