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 「普段の私なら、こんなにささいなことで怒ったりしないのに、今回はなんだか腹立たしい」「最近イライラしてばかりいる」という人はいませんか? ちょっとした刺激で怒りが爆発しそう、あるいは心がポキッと折れてしまいそうな人は、息抜きしましょう。

 私たちが怒るきっかけは、誰かに何かをされた、言われた、出来事や状況といろいろありますが、怒るか怒らないかを決めているのは自分自身です。「あの人が私を苛(いら)立たせる」と思うかもしれませんが、同じ人に対して、怒る人もいれば怒らない人もいます。怒りの引き金は自分の中にあるのです。そして、同じような出来事に対して、すごく苛立つときもあれば、さほど気にならないときもあります。その違いは何なのでしょうか。

 一つの要因として気持ちに余裕がなくなっていることが挙げられます。仕事が忙しい、休息がとれず疲労がたまっている、寝不足や体調不良もあるかもしれません。不安や緊張、職場の人間関係や悩みごとがあるかもしれません。そんな状況が重なると気持ちに余裕がなくなって、イライラしやすくなったり、普段なら怒らないようなことに怒りが爆発してしまったりします。

 

 心の状態を風船に例えてみます。疲労、悩みごとなどで、気づかないうちに風船が大きく膨らんでいる状況になっていたら、ちょっとした刺激で破裂してしまいます。あなたを怒らせていると思っているあの人や出来事は、風船を破裂させるきっかけになったかもしれませんが、風船を膨らませていた中身は、いろいろな出来事や状況が入り混じっていたのです。

 この心の風船がパンパンに張りつめた状態だと、何かのきっかけで破裂したときに、目の前の出来事だけでなく、たまっていたものが一緒に噴き出して、目の前の相手に八つ当たりしてしまったり、必要以上に怒りをぶつけてしまったりするかもしれません。医療や介護の現場では、それが患者や利用者に向かってしまうと虐待などの危険性があります。職員に対してもハラスメントやいじめなどにつながってしまいます。

 

 大きく膨らんだ風船も、空気を入れなければそれ以上は膨らみません。そのまま置いておけば数日でしぼんでいきますし、風船の口を開ければ空気が抜けます。今あなたを苛立たせた出来事だけに着目するのでなく、自分の心の風船の大きさを意識してみてください。心の風船が破裂する前に息抜きしましょう。

 その方法は人それぞれに違うので、自分に合うものを準備しておきましょう。その場でできるものなら、例えば深呼吸を何回かするのが簡単です。ゆっくりと息を吐いて、吐き切ったらゆっくりと吸う、これを何回か繰り返して呼吸に意識を向けて身体の緊張をとりましょう。ほかにも、お気に入りのカフェでゆっくり読書をする、近所を散歩する、お料理をするなど、自分の好きなことに少しだけ時間を使ってみるのも良いでしょう。身体にたまった疲労や寝不足を回復するには、睡眠をしっかりとることも必要です。身体をメンテナンスして体調を整えることも気持ちの余裕につながります。

 

 自分の心の風船の状態を意識して、破裂する前に対処することが大切です。以前、ストレス対処や感情をリセットするスイッチを紹介しました。それらも参考に自分にとっての息抜き、ガス抜きを考えてみてください。

▼感情をリセットするスイッチをつくろう   http://www.asahi.com/articles/SDI201701207326.html

▼怒りっぽさ解消のヒントはストレス対処 http://www.asahi.com/articles/SDI201609167568.html

 

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編集部から

 田辺有理子さんの本が8月31日に出版されました。タイトルは「イライラとうまく付き合う介護職になる!アンガーマネジメントのすすめ」(中央法規出版、2160円)です。(詳しくはアマゾン:http://goo.gl/52wVqv別ウインドウで開きます別ウインドウで開きます別ウインドウで開きます)

 

<アピタル:医療・介護のためのアンガーマネジメント・コラム>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/anger/(アピタル・田辺有理子)

アピタル・田辺有理子

アピタル・田辺有理子(たなべ・ゆりこ) 看護師・保健師・精神保健福祉士

横浜市立大学医学部看護学科講師。大学病院勤務を経て2006年から看護基礎教育に携わる。アンガーマネジメントファシリテーターTMとして、医療・介護・福祉のイライラに対処するためのヒントを紹介する。著書に『イライラとうまく付き合う介護職になる!アンガーマネジメントのすすめ』(中央法規出版)がある。