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 皆さん、よく眠れていますか? 今回は睡眠に関する研究、商品開発などを行っている立場から、睡眠について書かせていただきます。

 さて、人にとっての十分な睡眠時間は、いったい何時間だと思いますか?

 一般的には8時間睡眠ということがよくいわれますが、実はこれには科学的根拠がありません。結局、最適な睡眠時間は人それぞれのようで、最近では"時間よりも質が大切"ということがいわれるようになりました。

 人の眠りには、寝ていても大脳が活動している「レム睡眠」と、大脳も休んでいる「ノンレム睡眠」という状態があります。「ノンレム睡眠」は眠りの深さによって、4段階に分けられますが、ぐっすり眠れている状態は「ノンレム睡眠」の第3~4段階に入ったとき。つまり、この段階の眠りをまとまった時間とれれば「質のよい眠り」ということになります。

 

 では、睡眠の質を高めるためにはどうすればよいのでしょうか。

 まずは生活のリズムを作ることです。平日、休日を問わず毎朝決まった時間に起き、朝食を取るようにします。

 また、夕食は就寝2、3時間前に済ましておきましょう。寝る前に温かいお風呂に入るのも効果的です。ただし、熱過ぎるお湯につかるのは、体温が上がり過ぎてしまうため寝付きにくくなってしまいます。

 なお、覚醒作用のあるカフェインが含まれているコーヒーや紅茶などは、寝る4時間前からは飲むのを避けた方がよいでしょう。さらにアルコールも寝付きはよくなるものの、睡眠後半に浅い眠りが増えてしまうので、やはり飲み過ぎには注意が必要です。

 眠る環境ですが、明るい光はからだの状態を活動的にする交感神経活動を高め、寝付きにくくなるので、寝る30分~1時間前には照明を落とします。テレビをつけっぱなしにするのも、布団に入ってからスマートフォンを見るのも控えましょう。

 

 さて、「睡眠不足の人は肥満になりやすい」という話を聞いたことがないでしょうか? 中には「そんなバカな!」と感じる人もいるかも知れません。しかし、この話には根拠があります。睡眠不足になると食欲を抑制するホルモンが減少し、反対に食欲を促進するホルモンが増加するのです。また睡眠時間が長すぎても短すぎても血糖値や中性脂肪が上がることも分かっています。

 

写真・図版

 ここで上の表を見てください。年齢階層別の睡眠時間をまとめたものですが、これを見ると日本人でもっとも眠っていない年齢層は40~50代。おそらく仕事上の責任が重くなり、就労時間が長くなった結果だと思います。

 そして、この年代の男性に多い健康上の問題の一つにメタボリックシンドロームが挙げられます。もちろん原因はそれだけではありませんが、睡眠不足とメタボリックシンドロームの間には何らかの関係があると考えられています。

 

 睡眠は時間ではなく質が重要だということを紹介しましたが、いくら質を高めても、その人に必要な睡眠時間がとれなければ、睡眠不足になるのは当然です。

 ――睡眠不足が続くと食欲が増進するため、メタボリックシンドロームを招きやすくなる。そしてメタボリックシンドロームになれば、睡眠時に何度も呼吸が止まる睡眠時無呼吸症候群になるリスクが高まり、睡眠時無呼吸症候群になると眠りの質が落ち、睡眠不足に拍車をかける――そんな負のスパイラルに陥ってしまう可能性があるのです。

 また、睡眠には脳や心の疲労回復、成長ホルモンの分泌、記憶や感情の整理、免疫機能向上などのさまざまな役割があります。さらに、質のよい睡眠がとれれば、仕事や作業の効率がアップすることも知られています。健康のための生活習慣の改善というと運動や食事のことがまず思い浮かびますが、睡眠にも気を配るべきなのです。

 

 そうはいっても、睡眠の質がどうなっているのかは調べたくても自分ではどうすることもできません。そこで「睡眠の状態」を記録できる「睡眠計」などを使ってチェックするのも方法の一つ。寝ている状態を客観的に把握できるので、先に挙げた睡眠の質を高める方法などを試して、効果があったかどうかをチェックできます。その結果、自分にぴったりな睡眠方法を見つけることができるでしょう。

 

<アピタル:タニタとつくる健康生活>

http://www.asahi.com/apital/column/tanita/(アピタル・山谷千秋)

アピタル・山谷千秋

アピタル・山谷千秋(やまや・ちあき) 株式会社タニタ・ライフソリューション事業部 工学博士 睡眠健康指導士

博士号を取得後、タニタに入社。さまざまな商品の開発に従事したのち、睡眠計測プロジェクトチームに参加。解析アルゴリズムの開発に携わり、研究成果を学会などで発表している。現在も睡眠に関わる商品開発と研究を進めるとともに、睡眠健康指導士の資格を取得し、睡眠の改善活動にも取り組んでいる。