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 栃木県在住の綱川和久さん(53)は40歳のとき心臓の難病「特発性拡張型心筋症」と診断されました。病状が進んで、血液を全身の送り出すポンプの機能がさらに弱まり、植え込み型補助人工心臓を体内につけました。約2年後の2010年、心臓移植の手術を受け、子どものころから打ち込んできたスキーを再開し、再就職できるまでに回復しました。秋に54歳になります。「気力と体力があるうちに」と今年7月末に退職し、スキーに専念することにしました。この冬、技術を競う大会への出場を目指します。

 

 ■スキーは負けたくない

 7年前に心臓移植を受けた、栃木県在住の綱川和久(つなかわかずひさ)さん(53)は7月、自動車関連会社を退職した。子どものころから打ち込んできたスキーに専念し、技術を競う大会への出場を目指す。

 「これだけは負けたくないと思えるのがスキーでした。体力があるうちに、もう一度挑戦してみたいと思った」

 物心がついたころから、父久光(ひさみつ)さん(79)に連れられてスキー場へ通った。高校を卒業して就職してからも、スキーを続け、準指導員の資格も取った。

 2010年に心臓移植を終えて迎えた最初の冬、スキーの板を新調し、久しぶりにゲレンデに立った。翌春には友人と「草大会」と呼ばれる、地元の大会に出場したが最下位だった。

 その後も工場での仕事を続けながら、ゲレンデに通い続けた。15年3月に地元であった技術を競うマスターズの大会では総合順位は94人中62位だった。昨冬、友人から「滑り方が変わった。感覚が戻ったみたいだ」と言われた。

 「衰えを感じる一方、まだまだがんばれる。ちょうど拮抗(きっこう)している年代。専念するなら今しかない」と思った。来年3月の大会に向け、この夏も筋力トレーニングなどに集中して取り組んでいる。

 

 綱川さんが体の異変に気付いたのは04年春の初めだった。風邪のような状態が長く続いた。2階から1階へ下りるが息が続かず、玄関から庭先まで普通に歩くこともできなかった。夜、おぼれたような感覚で目覚めることもあった。足がむくみ、すねを指で押すと指の跡がしばらく残った。

 「覚悟を決めて、医者に行かなければ」と、近くの医院を受診した。X線検査で、医師から「心臓が大きい。大学病院の循環器の医師が来る日に、改めて来てください」と言われた。別の日、循環器の医師の診察を受けると「拡張型心筋症の疑いがあります」と言われ、大学病院を紹介された。

 大学病院で「特発性拡張型心筋症」と診断された。心臓の筋力が落ち、ポンプ機能が悪くなる難病だ。「何も治療しなければ、最終的には死に至る病気です」。医師の説明に「やばい病気なんだ」と悟った。

 

 ■体に除細動器入れたけど

 7年前に心臓移植を受けた栃木県の綱川和久さん(53)が「特発性拡張型心筋症」と診断されたのは2004年のことだった。

 即入院となり、強心剤などの薬物療法を受けた。心不全の診断指標となるホルモン「BNP」は治療対象となる可能性が高くなる値の10倍の1ミリリットルあたり2千ピコグラムに達した。病室で立って外の景色を眺めていると、看護師に寝ているように注意された。

 入院から3カ月ほどたつと、BNPは180ピコグラムに減った。退院できることになったが、「派手に動いたらだめだよ」と医師に注意された。2日で1箱吸っていたたばこをやめた。定期的に通院して薬物療法を受けながら、仕事にも復帰することができた。

 3年後の夏、「心室性の不整脈がある」と指摘された。「やっぱり、進行性の病気なんだな」と思った。再び入院し、心臓に電気ショックを与えて正常な動きにする「植え込み型除細動器」を胸に着ける手術を受けた。

 その年9月、身体障害者1級と認定された。車の運転を禁じられ、職場には電動アシスト自転車で通った。数カ月おきに24時間の長時間心電図の検査を受けた。次第に回復し、外来受診の間隔は週1回、月に1度と延びていった。

 08年夏「息苦しさがあるな」と思い医師に相談。「薬だけではダメかもしれない」と言われ、超音波検査を受けると、心臓がほとんど収縮していなかった。新たに、両心室ペーシング機能付きの除細動器を入れる手術を受けた。

 だが、夜寝ていても苦しく、体調は芳しくなかった。心臓に負担をかけないよう、70キロを超えていた体重を20キロほど落としたが、心臓はさらに大きくなっていた。

 「植え込み型の補助人工心臓の…

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