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 治療方針を意思決定する場面などで重要な役割を担う「正確な情報」、つまり科学的根拠(エビデンス)となる情報の信頼性について、これまで解説してきました。では、実際に正確な情報を入手するためには、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。今回は、正確な情報の入手方法について紹介したいと思います

 

▼インターネットを使って情報を正確に収集する際は、効率よくサイトにアクセスし、情報を取捨選択する

▼政府・行政機関や教育・研究機関等のサイト(「go.jp」「ac.jp」)の情報は信頼性が高い

▼正確な情報を発信している信頼できる個人からSNS等を介して情報を収集する方法もある

 

 健康や医療に関する情報は、どのような研究デザイン(方法)によって導き出されたかによって信頼性が異なってきます。おさらいになりますが、情報の信頼性の高低を整理した表が以下になります。

 

 では、ここで皆さんにも、ちょっと試してみてもらいたいのですが、実際にインターネットの検索サイトなどで情報を収集しようとすると、どのような結果になるでしょうか。例えば、検索サイトのGoogleで、健康食品としてよく知られる「グルコサミン」をキーワードにして検索してみます。

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 なんと、700万件を超える情報がヒットします。赤枠に囲まれたところはグルコサミンの広告ページ、青枠に囲まれたところはグルコサミンの購入サイトのリンクが表示されます。

それ以外の検索結果のリンク先も、残念ながら情報としての信頼性が高い「システマティックレビュー(ランダム化比較試験などの一次研究を取りまとめて再評価する方法)」や「ランダム化比較試験」によって得られた結果に基づくサイトではありません。

インターネットは、情報を収集するツールとしては便利である一方で、正確な情報を入手するためには、少し工夫や努力が必要になってきます。具体的には、次の二つの対応策が考えられると思います。

 

◎正確な情報が掲載されているサイトに効率よくアクセスする

◎正確な情報を見極める力と身につけ、情報の取捨選択を効率良くおこなう

 

 では、「正確な情報が掲載されているサイト」の具体的な例や、アクセス方法を紹介したいと思います。

 

「正確な情報」が掲載されているサイトは?

 正確な情報の発信元としての代表例として「厚生労働省・消費者庁などの行政機関」「大学などの学術研究機関」があります。そして、各機関は情報発信のためのサイトを作成し、管理・運営をしています。その際、各サイトには機関や組織の種別によって、特定のドメイン名(インターネット上の住所に相当)が使われています。

 

「go.jp」:日本の政府機関や各省庁所管の研究所など[「go」はgovernment(政府)の略]

「ac.jp」:高等教育機関、学術研究機関など[「ac」はacademic(学術的)の略]

 

 民間企業や個人が、サイトのドメイン名に「go.jp」や「ac.jp」を使用することはできません。ですから、調べたい内容の検索キーワードに「go.jp」や「ac.jp」を追加すると、行政機関や学術研究機関の情報がヒットすることになります。

(※実際にキーワードを入力する際には、行政機関や学術研究機関のサイトに限定して検索するには「site:」を用いて、「site:go.jp」「site:ac.jp」としてください。)

 

 例えば、健康食品に関しては、国立健康・栄養研究所の「『健康食品』の安全性・有効性情報」(https://hfnet.nih.go.jp/別ウインドウで開きます)が代表的な「信頼できる」サイトになります。

 URLに「go.jp」があることは確認できますか。 

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 また、少し宣伝になってしまいますが、筆者が厚生労働省の委託事業で作成している「『統合医療』情報発信サイト」(http://www.ejim.ncgg.go.jp/別ウインドウで開きます)があります。

 こちらにも「go.jp」があります。

 このように、政府・行政機関や教育・研究機関が作成しているサイトを活用して情報収集すると効率よく正確な情報が入手できます。

インターネットならではの工夫は?

 さらに最近では、インターネット技術の進歩により、ブログなどを含むさまざまなソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)が構築されてきたことから、人と人とがつながることが容易になってきました。そのため、正確な情報を発信している信頼できる人がいれば、SNSを通じて、どんなに遠方からであっても、またその人がどんな著明人であっても、直接、リアルタイムに情報を入手することが可能になっています。最近では、医師などの医療者もSNS等を通じて、正確な情報の発信に積極的に取り組み始めています。

 もちろん、その情報を発信している個人が、本当に信頼できる人物なのかを、慎重に見極めることは必要です。「大学教授」「医学博士」といった肩書に惑わされてはいけません。また、医学研究は世界中で進められており、医療技術は日進月歩で進化しています。情報の発信者が、その分野の専門家かどうか、経歴や研究業績などを確認することは是非おこなってください。もし、経歴がよく分からなかったり、発信している情報と無関係な経歴だったりした場合は注意が必要です。また、情報の発信者が、自らが開発した商品を強く勧めていたり、販売していたりする場合は、「白衣を着た商売人」の可能性がありますので気をつけてください。

 信頼できる人(一人に限らず複数可)から情報を入手し、検索サイトで闇雲に情報収集することを避けていれば、怪しい情報を発信している企業や個人の情報を一切参考にしないということにもつながり、効率よく正確な情報を得ることができます。

 

 情報の荒海に乗り出すのであれば、まずは航行目標となってくれる「灯台」、つまり「政府・行政機関」「教育・研究機関」「信頼できる個人」など信頼できる情報の出どころをみつけることが先決なのだと思います。

そして、正確な情報を提供してくれる「灯台」を頼りに情報収集することが、情報の荒海のなかで遭難しなくて済む方法のひとつだと考えます。

 

 

<アピタル:これって効きますか?・健康・医療情報の見極め方>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/kiku(アピタル・大野智)

アピタル・大野智

アピタル・大野智(おおの・さとし) 大阪大学大学院准教授

大阪大学大学院医学系研究科統合医療学寄附講座 准教授/早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構 客員准教授。1971年浜松市生まれ。98年島根医科大学(現・島根大医学部)卒。主な研究テーマは腫瘍免疫学、がん免疫療法。補完代替医療や健康食品にも詳しく、厚労省『「統合医療」情報発信サイト』の作成に取り組む。