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 ADHDが疑われる「生きるのがつらい女性」、リョウさん(30代前半、独身一人暮らし)のお話を続けていますが、今回はちょっと脱線。きっとこの時期、多くの方が「おっくうだなあ」と感じていらっしゃる、「年賀状作成」の進め方について、認知行動療法の視点で考えてみたいと思います。年内に投函(とうかん)し終えるためのポイントは、リョウさんも苦手な【計画立て】にありそうです。(リョウさんは架空の人物です)

 「年末って忙しいうえに、年賀状まで書かないと・・」

 日々の仕事や家事に加えて、地域の行事や子どもの行事、クリスマスや忘年会など、年末にかけて忙しい時期にさしかかってきました。年賀状の作成が、憂鬱(ゆううつ)の種になっていませんか?

 

 ところで、そもそもなぜ年賀状作りはなぜ憂鬱なのでしょう。

 まずは、こちらのリストをご覧ください。このリストの中で、普段のご自分なら、どこから手をつけますか?

 

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 やっぱり、今日の夕食の買い物や、お風呂をためること、ゴミ出しではありませんか?

 「だって、今日しなければならないことだし・・・」。そうです。緊急性の高いものは優先して取り組まなければなりません。緊急性がそんなに高くない年賀状作成は、どんどん優先順位を他の物にとって代わられます。

 しかし、これは「おっくう」の大きな原因ではありません。本当の「年賀状のおっくうさ」の正体は、隠れたステップの多さなのです。

 

 もう一度リストを見てみて下さい。このリスト、すべて同じ難易度、複雑さのものばかりでしょうか?

 違いますね。年賀状だけは格段に、完成までのステップが多いのです。

 試しに、いつもネットプリントで注文している我が家の年賀状作成の手順をご紹介すると、以下のとおりです。

 

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 おそろしく手順が多いですね。

 こんなに多くの手順をクリアしていかなければならないのに、to doリストでは、たった1つの項目で表現していたのです。

 

 「おっくう」だなと感じているときは、最初の1歩のハードルが高すぎる可能性があります。以前のコラムでも紹介しましたが、気が乗らない仕事にとりかかるためには、最初の1歩のハードルを下げることが大切です。

 そこで、年賀状作成の多くの手順のうち、最初のステップだけを日々のto doリストに加えてみてはどうでしょうか。

 

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 これなら、「お、通勤途中の駅前のコンビニで年賀状だけなら買えそう」と、思えませんか? to doリストに「年賀状を作る」と書いていた頃に比べると、とても簡単に思えてきませんか?

 これです。この「大きな仕事を小さなステップに分ける」作業で、おっくうな気持ちを減らすことができるのです。

 

 次の日にはこんなto doリストはいかがでしょうか?

 

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 ステップは細かければ細かいほど実行可能性を高めますし、何度も達成感を得られます。大きな気の重い仕事は、細かいステップに分解して、日々の日課に落とし込んでいくのです。

 それでもまだ「おっくう」だなと感じるときは、to doリストのステップが大きすぎるのではないかと見直すチャンスです。

 たとえば、「絵柄・写真を選ぶ」ステップには、実は次のような4つもの小さなステップが隠れていました。どおりでおっくうだったわけです。

 

写真・図版

 おっくうさは、ステップ分けが大まか過ぎるサインです。

 決して「自分がだらしないから、先延ばししてしまうんだ」と自分を責めずに(責めても得られるものはありません)、その時間をステップ分け&計画の立て直しの時間に使いましょう。

 

 年内に年賀状を出し終える秘訣は、「小さなステップに分ける」ことです。

 特に、最初の一歩はなるべく小さくすること。

 さらに、つまずいたときには、「隠れたステップ」はないか、よくみてみましょう。

 

 Let's try !

 

<アピタル:上手に悩むとラクになる・生きるのがつらい女性のADHD>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/nayamu/(アピタル・中島美鈴)

アピタル・中島美鈴

アピタル・中島美鈴(なかしま・みすず) 臨床心理士

1978年生まれ、福岡在住の臨床心理士。専門は認知行動療法。肥前精神医療センター、東京大学大学院総合文化研究科、福岡大学人文学部、福岡県職員相談室などを経て、現在は九州大学大学院人間環境学府にて成人ADHDの集団認知行動療法の研究に携わる。他に、福岡保護観察所、福岡少年院などで薬物依存や性犯罪者の集団認知行動療法のスーパーヴァイザーを務める。