[PR]

 がんとはどんな病で、どうしたらかかりにくいのか。がんの正しい知識を伝える「がん教育」が少しずつ広まっている。国も力を入れ、数年後には全国の中学校で実施されることになる。がん経験者やその家族にどのように配慮し、授業の質をどう保つかが課題となりそうだ。

医師やがん経験者、学校で授業

 

 「がん細胞はジコチューで周りを考えずにどんどん増える」「放置すると体のほかのところに移動する」

 京都府井手町の町立多賀小学校。10月12日、府山城北保健所長の大熊誠太郎医師が5年生21人の前で、がんの仕組みや転移について説明した。

 「がんにならない方法はないが、なりにくくすることはできる」。たばこの煙を避ける、好き嫌いなく食べるといった生活習慣の大事さをあげ、「両親に『がん検診を受けて』と言ってほしい」と早期発見の重要性も伝えた。

 府がん教育推進メッセンジャーの砂本和美さん(61)は、自身が大腸がんになった経験を語った。手術前に手を握って励ましてくれた息子や、入院中の家事を担った夫ら家族に支えられたことも紹介。「体を大切に毎日を元気に過ごしてください」と語りかけた。

 授業を受けた中田慧(けい)くん(10)は「がんは怖いけど気を付けることはできるとわかった。好き嫌いなくご飯を食べるようにしたい」と話した。

 京都府は2013年秋から、学校でがんを教える「生命(いのち)のがん教育推進プロジェクト事業」を始めた。学校からの依頼を受け、府内のがん診療連携拠点病院の医師、保健所長らを派遣する。砂本さんら府の臨時職員でがん経験者の3人も教壇に立つ。

 府の田中美奈子・がん総合対策担当課長は「病気になって家族や命の大切さを再認識した経験を話すことで、児童や生徒が知識だけではなく命の大切さも学べる」と語る。

 東京都豊島区では12年度から全30の区立小・中学校で、がん教育を始めた。子どものうちから正しい知識を学び、健康づくりに役立ててもらう試みだ。保護者世代の検診受診率の向上につなげる狙いもあるという。香川県宇多津町は、13年度から町内唯一の中学校でがん教育の授業をしている。2年に1度、町民を対象にがんの講演会も開く。授業や講演会を始める前と比べて昨年度は乳がん検診の受診者数が2割増えたという。

 

2021年度から、全国の中学で「がんの授業」実施へ

有料会員に登録すると全ての記事が読み放題です。

初月無料につき月初のお申し込みがお得

980円で月300本まで読めるシンプルコースはこちら