――直木賞受賞後第1作となる『世界地図の下書き』(集英社)が出ました。前作『何者』とは雰囲気の違う小説ですね。
テイストも空気も違うけれど、根底は同じ着想です。『何者』を書いたときは、就職活動を1回ミスると、もう二度とそのレールには戻れない、というセーフティーネットの無さを感じていました。
いじめ自殺のニュースを見て、子供でも同じような感覚があるのかなと思い、子供たちを主人公にした小説を書きました。転校すればいいのに、と今の僕なら言えますが、子供にはそんな発想すら難しい。レールをはずれる選択そのものがない。子供が逃げる選択肢を選ぶ話を書きたかった。逃げた先にはつらいこともあるけれど、まったく同じ確率で救われる可能性もあると思う。就活生も同じだと思います。